Episode50 ページ2
「あれ、神崎さん…、職員室、入っていって、なかったっけ…」
息を絶え絶えにさせながら、今しがた目に飛び込んできた光景に疑問を抱く。
すると、彼女は顔を真っ青にしながら人差し指を自身の唇に押し当て、シー！と合図してみせた。
「お願い、静かにして！今、中に犯人が…」
そう言いながら、わなわなと震える彼女は今度はその指で職員室を指す。
「犯人って…もしかして、窃盗の…」
彼女は小刻みに首を上下させ、ええ、と呟いた。
「私、こないだ職員室の前を通りかかったとき、たまたまその瞬間を見てしまって…。ずっと言い出せずにいたんだけど、今日たまたまもう一度誰かが職員室に入っていくのを見かけて…」
「……そう、だったんだ」
そう話す彼女の肩は、とても震えていて。
彼女がどれだけ勇気を振り絞ってここまで来たかが、ひしひしと伝わってきた。
もう、遅い時間で、声をかけられる人もいなかっただろうに。
ああ、最低だ、俺は。
一瞬でも、彼女を疑ってしまった自分を殴りたい。
「…とりあえず、誰かを呼ぼう。今教室に生徒会の先輩がいるはずだから、その人に…」
「でも、それじゃアイツがいつ職員室を出てっちゃうか分からない…」
神崎さんの言うことはもっともだ。
犯人は証拠を残していかないと言っていた。
直接現場を押さえなければ、俺たちの証言なんてただの虚言だ。
「…そうだ、神崎さん、スマホ持ってない？」
「ごめんなさい、咄嗟のことでカバンを置いてきてしまって…」
カメラがあれば写真を取れるし、最悪LINEで誰かを呼ぶことが出来ると思ったが、その道も絶たれてしまった。誰かを呼びに行くにしても、神崎さんをここに一人で残して行くわけにはいかない。
「…神崎さん、俺がここに残って見張ってるから、教室に行って先輩に助けを求めてきて欲しい」
俺がそう告げると彼女は焦ったような顔をして、小声で駄目よ！と言った。
「もし犯人が出てきて山本くんと鉢合わせたら、危険すぎる。犯人、背の高い男子生徒だったわ。私、見たもの」
「…俺も一応男子だよ。大丈夫、一応この久敬高校の生徒なんだし、直ぐ暴力に訴えるようなアホな思考回路はしてないよ」
「こんな計画を企ててる時点で、大分正気じゃないわよ！」
駄目だと渋る彼女に、お願いだよ、と頼み込む。これしか方法が思いつかない。
「お願い、早くしないと…」
そう俺が言いかけた時だった。
背後から、ガラ、と、扉の開く音が聞こえたのは。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます！やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください！ (2020年6月4日 19時) (
レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした！ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます！ (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい！ありがとうございます！本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか！！笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね！！コメントありがとうございました…！！ (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！山本さんお誕生日回…！たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです！笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます！！最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます！これからもよろしくお願いします…！！ (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年5月14日 0時
