Episode72 ページ37
「…問題。おい、じ」
「蟹工船」
「せいかーい…」
クスクスと、暗い部屋に響く笑い声。
まるで修学旅行の夜のような雰囲気に、須貝は思わず笑みをこぼした。
先程の全力枕投げ大会で、また汗をかいてしまった須貝はもう一度汗を流すためにシャワーを借りていたのだった。時間も時間だったため、先に寝てるよと言われてはいたものの実際に部屋に戻ってみたらこれだ。
枕投げで完全にスイッチが入ってしまった伊沢は、勉強で疲れているにも関わらず、周りで寝ている皆にちょっかいを出してはクスクスと楽しそうに笑っているのだった。
「…もう寝ましょうよ、伊沢さん」
「いやあ、なんかアドレナリンがめちゃ出てるんだよね。普段ベットだから、敷布団だとなんかワクワクしちゃって」
「もうー…」
伊沢は、普段は自室のベットで寝ているらしいが今日は大きな部屋に全員分の布団を並べてくれていて、所謂川の字というものが何個も出来ている状態だった。
テンションの高い彼は福良にちょっかいをかけるも、冷たくあしらわれてしまったためターゲットを山本に変更してさっきからずっとクイズを出したり自分の持っている雑学を披露したりていた。山本も山本で福良みたいに伊沢をあしらう勇気がなく、うだうだ言いながら付き合っているのだ。
「ちょっと、いい加減にしてあげなさいよ」
困り顔の山本に助け舟を出し、その隣の布団に潜り込んだ。ちなみに本来は俺の布団は山本とは反対側の一番端だったのだが、なんと河村に早速占領されていたため山本とこうちゃんの間の隙間に滑り込むように入っていった。
伊沢はえーと言って、くるりと向きを変え福良とその隣にいる川上に突撃していった。スマホを弄っていた川上はあからさまに嫌な顔をする。全く、哀れな男だ。
「…須貝さん、ありがとうございます」
「ん？ああ、別にいいのよ、こういう時の伊沢はまともに構わなくて」
なかなかに辛辣な言葉をするっと口からだす。
冗談か真実か…おそらく前者だろうが、こういう事をちゃっかり言えるのもこの生徒会のいい所だ。
そうなんですね、とふふっと笑みをこぼす山本を須貝はちらっと見て、軽く心を撫で下ろす。
なんとなく、なんとなくだが、伊沢の家に着くくらいから山本の表情が曇っているような気がしていたのだ。
物理をつきっきりで教えており山本といる時間が長かった須貝は、どうしても少し彼が心配で仕方がなかった。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます！やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください！ (2020年6月4日 19時) (
レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした！ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます！ (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい！ありがとうございます！本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか！！笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね！！コメントありがとうございました…！！ (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！山本さんお誕生日回…！たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです！笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます！！最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます！これからもよろしくお願いします…！！ (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年5月14日 0時
