__ ページ10
タクシーを呼んで眠ってる牧さんを連れて彼女のマンションへ向かう。住所知ってて良かったわ。
タクシーに乗せられたのにスヤスヤ眠ってるのを見て危機感のなさにこっちが不安になってくる。これが俺じゃなかったらどうすんの?
マンションに着くと「よいしょ、」と彼女を運び、鞄の中から失礼しますよーと鍵を拝借。実際部屋の中に入るのは初めてで変に昂る気持ちを抑えつつドアを開けて手探りで電気のスイッチを探した。パチッと明かりがついて、廊下を歩くとドアを開ける。
こっちがキッチンで、あっちにベットか。流石に着替えさせるわけにはいかないし、このままベッドに寝かせてもいいのかな、そうするしかねぇかって迷いつつ奥の方へ歩いて行くと良く見ればあちらこちらと視界に入るところに俺がいっぱい居るは居るわ。あ、アクスタ全部揃ってる。俺しか居ないってのが何となく嬉しかったり。
あ、このうちわってライブの時に持ってたやつ。普通のファンサうちわと違うから気になって何度か見たんだよな。それをこうやって壁に飾ってあるって、それだけあのライブが牧さんの心に残ってるんだってこと。
「ねえ、俺は少しでも生きる糧になれたのかな」
ベッドに横たわらせて、顔にかかった髪を手の甲でサラッと退ける。さっきよりは顔に赤みが戻ったし気分も悪そうじゃない。朝までぐっすりコースかな。
「ん……さく、ま……くん」
「ふふ、なぁに。夢の中に俺居んの?」
「……すき」
「……っ、」
ド直球なその言葉に心臓がドキンと跳ねた。
好き、なんて言葉はもう何回も言われてるのに、でもそのどれも欲にまみれた嘘でしかなくて、本心であったとしても信じるのがずっと怖かった。
「……信じても、いいの」
俺に囲まれた部屋で、ぼそっと言えば、彼女の瞳がゆっくりと開いてぼんやりと俺を見上げてる。
起きた?
「……信じ、て。さくまくん、すきぃ」
「なっ、っ……」
一気に体温が上がって、恥ずかしさに口元を隠した。戸惑う俺はどうしようとアタフタしていたけど、牧さんはまたスーッと目を閉じて眠ってしまった。え、これどっち? 寝ぼけてんの? 起きてたの?
一人テンパって、バクバク鳴る胸を押さえて牧さんを見下ろす。
そしてそのまま引き寄せられるように俺は彼女のふっくらとした唇に唇を寄せた。
2640人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - にかさん» コメントありがとうございます😊 私も夢小説は家で読むのがいいと思います🤭 楽しんでもらえたようで良かったです。💗の💗はもう聞いたら腹筋以外の想像してしまうので私は重症です😂 最後までありがとうございました! (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます😊 ぎゅんぎゅんしてもらえて嬉しいです🤭 ゆゆさんのお時間ある時にまた読んでもらえたら幸いです😌 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - いくさん» コメントありがとうございます😊 猫ちゃん目線は私が絶対書きたかったものなので楽しんでもらえて良かったです😊ありがとうございました! (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 桜短冊さん» そして桜短冊さんの気持ちとても伝わっております😌ありがとうございます😊 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 桜短冊さん» 桜短冊さん、番外編までお読み下さりありがとうございました😊 ページ数の都合でかなり簡単に書いた番外編でしたが楽しんでもらえて嬉しいです! 猫ちゃん達の目線は番外編書く前から書きたいと思ってたんです。書けて良かったです🤭 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2023年7月11日 22時