＿＿ ページ22
「……ユリ、なんで、」
長い髪が驚く俺の顔に掛かる。ハッとして避けるように起き上がれば、さっきまで背後に居たはずの母親はどこにも居なくて代わりに幼なじみが居た。
「お母さんとおばさんが連絡取ってて、今大介帰って来てるよーって聞いたから来ちゃった！」
「……母さんは？」
「ああ、私の家でお茶してくるってさー。てか、最近凄いね！ 本屋に行ったらスノーマンだらけだし、テレビもめっちゃ出てんじゃん。すっかり有名人」
「…………」
これから母ちゃんには俺が帰って来てること言わせないようにしなきゃな。はあ、と明らかに分かるような溜息を吐く。
あの頃よりも多少人前に出られるようになった今、もしまた会う事があったら……と以前の俺なら僅かな期待もしていたかもしれないけど、なんだろうな……もうユリの顔を見ても心は一切動かなかった。
それって俺はユリから解放されたってことなんだろうか？
「ちょっと話訊いてるの？」
いつの間にか俺の隣に座ってきたユリは、俺の膝の上からムーンを奪うと床に下ろす。そのまま視線は俺を覗き込んでいる。
「ねえ、大ちゃん。ほんと凄いね。……かっこいいよ」
「そりゃあどうも」
「冷たーい。……私さ、昔のこと悪いなぁって思ってんだよ？」
「なにがよ」
「私も若かったからさー、大ちゃん以外にも目移りしちゃったというか。ほらでも大ちゃんだって、あの子可愛いとか好きとかっていっぱい嫁居たじゃん」
「二次元と三次元を一緒にすんな」
「ん、まあその辺よく知らないけど。かっこいいっ！ て推しがいっぱい居たってだけで、大ちゃんと大して変わんと言うか？」
「……なにが言いてぇの？」
翔太に告ったこと、他の奴と俺に内緒で遊んだことユリは知ってか知らずか好き勝手言うけど、そんな事今更どうだっていい。
「好きだったよ、ちゃんと」
「…………」
ぎしっとソファが重みで鳴った。目の前に真剣な顔で見詰めてくるユリ。
「キスしたのも大ちゃんが初めてだったよ」
「…………」
その目線の先にはなにがある？
お前はいつだって俺じゃない何かを求める。
「大ちゃんの理想の恋愛。幼なじみとってやつ。今なら叶えられると思わない？」
「……思わない」
「…………」
ぶぅ、と頬を膨らませたって今は可愛いなんて思わないから。顔に手を当て押し退けて、俺がソファから立ち上がると「ざーんねん」と全く残念そうな声はしない。
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ゆきんこ(プロフ) - にかさん» コメントありがとうございます😊 私も夢小説は家で読むのがいいと思います🤭 楽しんでもらえたようで良かったです。💗の💗はもう聞いたら腹筋以外の想像してしまうので私は重症です😂 最後までありがとうございました！ (11月6日 15時) (
レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます😊 ぎゅんぎゅんしてもらえて嬉しいです🤭 ゆゆさんのお時間ある時にまた読んでもらえたら幸いです😌 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - いくさん» コメントありがとうございます😊 猫ちゃん目線は私が絶対書きたかったものなので楽しんでもらえて良かったです😊ありがとうございました！ (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 桜短冊さん» そして桜短冊さんの気持ちとても伝わっております😌ありがとうございます😊 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 桜短冊さん» 桜短冊さん、番外編までお読み下さりありがとうございました😊 ページ数の都合でかなり簡単に書いた番外編でしたが楽しんでもらえて嬉しいです！ 猫ちゃん達の目線は番外編書く前から書きたいと思ってたんです。書けて良かったです🤭 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2023年7月11日 22時
