＿＿ ページ16
「あ、ありがとうございます」
「仕事もできそうだね」
「……っ、」
ふわり、と香る上品な香り。なのにその香りを纏う高岸さんは、先程までの紳士的な振る舞いは何処へやら一気に距離を詰めて私の肩を抱き寄せた。
「あのっ、」
「お、君のグラスも空いてるじゃないか。ほら飲みなさい」
「えっと、はい。ありがとうございます」
断るなんて出来なくて言われるままに注がれたお酒を飲んだ。そうしてるうちに、今自分が何を何杯飲んだのかよく分からなくなってきて、「ちょっと失礼します」と離れるのが精一杯になっていた。
「大丈夫かー？」
廊下に出ると外から戻ってきたらしい彼と鉢合わせ。煙草の匂いがする。
人に任せておいてあんたは悠々と休憩していたのか、と睨んでやった。
「あの人さ酒クソ強いんだよ。んで酔うと武勇伝語りたがるんだけど、それを男に話しても反応が良くないって言うもんでさ。だからあの人の時は女子社員を付けてたんだけど、」
「断られるんでしょ、」
言いたい事は分かった。高岸さんは女性に武勇伝を語りたりながら自分を上げてくれる女性に気分良くして触れている。つまりセクハラだ。色んな意味で気持ちよくなりたいただのセクハラ親父。
これじゃあ若い子は嫌がるだろうし、彼的には自分のお嫁さんなんて以ての外だろうな。
「この礼はするからさ頼むよこの後も付き合ってくれ」
「は？ なんで？ 此処は耐えるけど、後は知らないから」
「仕事取れないと困るじゃん。大きいぞこの仕事」
「……そんなのあなた達の仕事じゃない」
あーイライラするし気持ち悪い。そんなに強くもないのに色んなお酒を飲まされて、笑いたくもないのに愛想笑いして、やたらベタベタ触られて。これでも耐えたのに、まだ付き合えって言うの？
「はあ、別に良いだろ。遅くなっても誰が待ってるわけでもないんだし」
「…………」
カチンときた。貴方には家で帰りを待つ人が居るけど、私には居ない。そう言いたいの？
去年の今頃は貴方とこんな言い合いをするとは思ってもみなかった。言い返したいのに、気持ち悪いものが喉の奥から込み上げて来そうで口を押さえるのが精一杯。
「吐くなよ。吐くならトイレ行ってスッキリしてこい。んで頑張ってくれ」
「…………」
悔しい、悲しい。 こんな扱いされる程、私は貴方に何かしたの？ 付き合っていた頃はそれなりに優しかったのに、あれは幻だったんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2638人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - にかさん» コメントありがとうございます😊 私も夢小説は家で読むのがいいと思います🤭 楽しんでもらえたようで良かったです。💗の💗はもう聞いたら腹筋以外の想像してしまうので私は重症です😂 最後までありがとうございました！ (11月6日 15時) (
レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます😊 ぎゅんぎゅんしてもらえて嬉しいです🤭 ゆゆさんのお時間ある時にまた読んでもらえたら幸いです😌 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - いくさん» コメントありがとうございます😊 猫ちゃん目線は私が絶対書きたかったものなので楽しんでもらえて良かったです😊ありがとうございました！ (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 桜短冊さん» そして桜短冊さんの気持ちとても伝わっております😌ありがとうございます😊 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 桜短冊さん» 桜短冊さん、番外編までお読み下さりありがとうございました😊 ページ数の都合でかなり簡単に書いた番外編でしたが楽しんでもらえて嬉しいです！ 猫ちゃん達の目線は番外編書く前から書きたいと思ってたんです。書けて良かったです🤭 (11月6日 15時) (レス) id: 3d6d572a50 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2023年7月11日 22時
