隣の席の湊くん (ページ17)

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隣の席の湊くん⑰ ページ17

「あっ響輝クーン！どしたのー？」

「あー茜ちゃん。ちょっとさその男呼んでくんない？」

「えー？あっ松下くんのことー？」

「そう、用があってさ」

俺と一瞬目が合う。

「松下くーん、響輝くんが呼んでるよ」

無言で席をたち、俺の方へ向かってくる。

俺は少し強く手首を掴むと茜ちゃんにお礼をいって廊下に連れ出す。

「お前、分かってるよな」

湊とやらはひたすら無言で俺を見つめる。

なんだよ、その目。

余裕なのかよ。

そのまま屋上に連れ出した。

フェンスに押し付け、俺は怒鳴るに近いくらい大きな声で、怒った。

「何したんだっ菜月に！」

「お前、湊…だよな。ふざけてんのかよ」

無言だ。

ただ俺を見つめている。

むかつく。

俺は菜月の彼氏じゃない。

でも、俺は菜月が好きだ。

こいつなんかに絶対渡さない。

菜月を、俺のものにする。

「お前、好きなの？菜月のこと」

「……あぁ」

少し間が空いてから答える。

「好きだよ、宮原さんのこと。俺は好き」

「はぁっ。やっぱりかよ。言っとくけどなお前なんかに渡さねーからな」

「俺もだよ。絶対渡さない」

なんだよこいつ。

菜月と仲が良いのは俺だ。

菜月と多くの時間を過ごしているのは俺だ。

菜月と笑いあった数が多いのも俺だ。

だから、彼氏になるのも、俺なんだよ。

そんな考え方を踏みにじられるような目をしてる湊にむかつく。

そしてこんな子供みたいなこと考えてる俺にむかつく。