隣の席の湊くん (ページ16)

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隣の席の湊くん⑯ ページ16

結局よく分からないまま……。

チャイムがなり、教室を出る。

そういえば響輝と約束してたんだ。

そのとき、聞いてみよっかな。

「菜月ー！」

「響輝っ」

「わりぃー！今日の約束なんだけど、俺ちょっと他にやらないといけないことっつーか…なんつーか」

「用事？分かったよ！！じゃ、また今度ねー！」

「おう！今度埋め合わせするからー！」

どうしようかなぁ。

つかさちゃんたち、帰っちゃったかな。

「菜月ーー！」

振り向くと、悠里が手を振りながら走ってきた。
「一緒に帰ろー！」

「うんっいいよ！」

他愛もない話をし、靴箱にたどり着くと昇降口から声がする。

遠くてはっきりは聞こえないが、言っていることは大体分かる。

「……あのっ泰雅くん！私っ泰雅くんのことが…好きなのっ」

え。

「泰雅、告白されてる…」

悠里がすごく寂しそうな顔で泰雅を見つめる。

「悠里っ。あの」

「いいよそーゆーの。早くいこ」

靴箱から靴を出し、すたすたと去っていく。

「待って悠里っ！泰雅告白断ってるよ！悠里っ」

肩に手をかけようとすると悠里はこちらを睨むようにして見たあと、避けて歩いて行く。

「そんなの、どーでもいいし」

ボソッと呟いて、昇降口を出ていった。

でも、私は足が動かせなかった。