キ ミ の 特 等 席 【橙】

Cafe 2 . ページ5

.




日曜日。

今日の天気は雨。



外は冷たそうな雨と薄桃色の桜の雨が
降っている。


車道を走る車は水を跳ね、
歩道を歩く人は色とりどりの傘をさして
濡れないように歩いている。




今日はお客さん少ないなぁ。
日曜日なのに。





店長「ごめんね、こんな雨の中来てもらって」

『大丈夫ですよ、1番家近いの私ですし』

店長「……待ってんの？w」

『ま、待ってないです！！』





あの日以来、
ジェルさんは来ていない。

もう1週間近く経ったかな。

日曜日だし、来る…よね？


今日は日当たり良好ではないけど
来てほしい…なんて思ってる私は、

いつからこんなに幼稚になっちゃったのかな。





『わがまま…だよね。』

店長「んー？なんか言ったー？」

『なんも言ってないですーw』





持ってたおぼんをぎゅっと
握りしめては、少しだけ強がってみる。


私は彼の特別なんかじゃない。

1回だけあった、
たまたま立ち寄ったカフェの店員。


そのくらいじゃんか。



名前聞かれたくらいで、
なに期待しちゃってんの。

なに盛り上がっちゃってんの。





『雨、止まないかなぁ。』







そんなことを言っても、
雨は止んでくれなかった。





そして、その日は
ジェルさんの姿は一向にないまま、



お店の鍵を閉めた。






.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す