キ ミ の 特 等 席 【橙】

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ジ「ほな、また来るな」

『あ…ありがとうございました！』




ふわっと微笑む彼女に
自分の臆病さに恥ずかしさを感じた。

彼女になら、
"遠井さん"の正体を教えてもいいんじゃ…とか

彼女になら、
"すとぷり"のこと話してもいいんじゃ…なんて


思ってしまって。





ジ「なぁ、A。あん…な、」

『？どうしました……？』

ジ「実は…俺…！ こ「やっほー！Aちゃん」
……ころん…」

こ「何の話してんのー？真剣な空気だねぇ、
ジェルくんそろそろ帰ったらー？
遠井さんが待ってるんじゃないのー？」

ジ「…っ……そ、やな…じゃあな！A！」





……いつも俺は逃げてんな。

怖気付いて、俺はそそくさと
Aのカフェを後にした。


振り返れば、
楽しそうに話すAところん。


そう…よな。

ころんはAに活動のことバレても
ええって思ってるしな。

逃げてばっかの俺は
きっと、ころんには勝てやしない。





ジ「はぁ…」





ため息がそのまま、地面に落ちる。

なんでもっと早く、
行動に移せんかったんやろう。


もっともっと早く、
君を見つけて、君に声をかけて

君の瞳に俺を映してくれてたら……



今のころんの場所は、
俺やったん…？






ジ「……だめや、帰ろ。」






いつまでも悩んでてもダメや。

家帰って編集の続きやろ…




今の俺には、
あの光景は……きつすぎる…






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