キ ミ の 特 等 席 【橙】

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ジ「やっほ！A」

『…！ジェルさん、いらっしゃいませ』

ジ「今日もあの席行くな？」

『はい、大丈夫ですよ』





今日は(・)居た。

実は、何度も何度も来ていた。
タイミングが合わなくて、会えないことが多くて。


本当はもっともっと、君と…
Aと話したかったんや。


お客さんひとりひとりに、
可愛い笑顔で、丁寧な接客で向き合って。

ちょっとした仕草も、可愛くて
綺麗で、見惚れてしまうくらい。


このカフェに来たら、
君を目で追ってしまって、

編集なんて進むことすらせぇへんのに。


ついつい、君を見に、君と話しに、
ここに足を運んでまう。





『注文、決まりました？』

ジ「んー、せやなぁ。
紅茶とオススメのケーキで！」

『今日はいちごのタルト、オススメですよ
いつか、彼女さんといらしてくださいね』




ころんのせいで、
彼女がいるって勘違いされたまま。

"遠井さん"ってのは、俺なんに。


でも、俺の活動を彼女に言うのも嫌や。


彼女には知ってほしくないんや。

"すとぷりのジェル"やなくて、

"橙井 ジェル"って一人の人間を


見て欲しかったんよ。




……わがままが過ぎるよなぁ。

勘違いされ続けるのも嫌やけど、
それを弁解するには、

俺の正体まで言わなあかんとか。






ジ「…せやな。連れてくるわw」












ごめんな、A。

臆病でごめんな。






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