Femme Fatale【stxxx】

. ページ16

.




朝起きれば、隣に彼の姿は無かった。


しわくちゃのシーツ、
脱ぎ捨てられたシャツ。

あの後、沢山彼に愛された。



けど私には響かない。

私には届かない。




ほんのり香るトーストの匂いに
私はダイニングに足を運ぶ。


そこには、普段キッチンなんかに立つことのない彼の姿が。

無駄にエプロン姿が様になっている。
顔が良いせいなのかな…






こ「おはよ、A」

『珍しい…』

こ「ちょ、なにその顔…僕だってキッチンくらい立つよ。」

『ごめんごめん、いい匂いするね』

こ「トースト焼いてる。ほい、イチゴジャム」

『わかってんね、ありがとう』

こ「好きな人のことなら覚えとくよ、好きなのくらい」





恥ずかしがり屋なのに、
そんなことサラッと言っちゃってさ。

耳まで赤くなってるの、気づいてるからね。


イチゴジャムみたいな色してるね。

なんちゃって。





こ「今日学校でしょ？」

『うん、今日はフルコマ。』

こ「僕は家で編集してる、
夕飯何がいいかあとで連絡しといて」

『わかったぁ、夕飯も作ってくれるんだね』

こ「たまには、ねw」

『ありがと、ころちゃん。』







ころちゃんの嬉しそうな笑顔を見ながら
私は器用に、彼にメッセージを送る。


今日学校？フルコマ？


そんなの、嘘に決まってんじゃん。
















さとみ近くのコンビニまで迎えいくわ。久しぶりのデート楽しみ。









私も楽しみだよ、さとみくん。




.

＿crazy 5 .→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す