Femme Fatale【stxxx】

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さ「じゃあまたデートしような」

『うん、今日はありがと。またね。』





彼との別れ際には必ずキスをくれる。

優しくて大人っぽいキス。


そして離れた時の照れ笑いが可愛くて好きなのだ。




私はさとみくんの車から降り、
彼に手を振ってその場を後にする。


今日はとても幸せな日々を
過ごせたと思うなぁ。




**




『ころちゃんきたぁー』

こ「おかえり！A！」





私の声にばたばたと玄関まで走ってくる彼は
まるで、飼い主を待っていた子犬のよう。

ハンバーグの匂いが漂ってきては
彼なりに頑張ったことを痛感する。





こ「ご飯食べよ？」

『うん、ありがとう
今日頑張ったんだね、ころちゃん』

こ「まぁ、せっかくリクエストもらえたし…？」

『あー…そうだったね』





まぁ、私の(・・)リクエストではないんだけど。

目の前の不格好なハンバーグを見ては
少しだけ愛らしいな、なんて思ってしまう。

彼の指に巻かれた絆創膏を見ては
料理がやはり苦手なんだ、と分かる。



私のために作ってくれた、なんて。

可愛いものだ。





『ころちゃん、ありがとう』

こ「え！？なんで！？」

『次からは私が作るね。
綺麗な指なんだから、大切にしてね。』

こ「あ…ありがとう、A」

『じゃあ食べよっか。
学校で疲れてお腹すいてたんだよね』

こ「うん！よし！いただきまーす！」

『いただきます』








彼の作るハンバーグは
心做しか、優しい味がした。






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