な組の若頭 ３【stxxx】

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目の前で繰り広げられる戦闘に
私は悔しさでいっぱいだった。


手の届くところに、
憎い相手がいるのにも関わらず、

実力を積んで、
若頭になったのにも関わらず、


私は何も出来ない。

実質無力な私に嫌気がさす。




まだまだ余裕そうな彼らだけど、
いずれ、体力の限界が来る。

長年一緒に戦っているからこそ、
息がぴったり。


撫子色と山吹色の羽織がなびいて、
春と秋を連想させるような綺麗さ。



そう、この綺麗な戦い方こそ、な組なのだ。






「くっ…」

「ジェル！大丈夫か！？」

「いってぇ…大丈夫よ。
さとちゃんは大丈夫か？」

「おまっ…血ぃ出てんじゃん……」

「こんくらい余裕って！
止血はどうにかやるから、
さとちゃんは戦いに集中してや」





助けに行きたいのに、行けなくて。

守ってあげたいのに、守れなくて。






『さとにぃ…ジェルくん……』

「A…心配なのはわかるけど
今は出ちゃダメだからね。」

『莉犬…なんでこんなにコソコソしなきゃ行けないの…
嫌だよっ…もう……
ジェルくんなんて血が出てるんだよ…？

手当しなきゃ…下げなきゃだよっ……』

「でも今ジェルが下がったら、
さとちゃんが1人であの量の敵を倒さなきゃいけないんだよ？
それは、さとちゃんの負担がでかすぎる。」

『だから私がっ…』

「……A。なーくんの言うことは絶対だよ。
今ここで言うこと聞かないなら、俺はAを怒るよ。」

『……』





私のことを思って、莉犬はこう言ってくれてる。

分かってる。分かってるけど……





私の気持ちも分かってよっ…





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