宝石のカケラ 【stxxx】

■ 8 ページ33

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なーくんが帰ったあと、
私は一人病室にただ、座っていた。


空がどんどん赤くなっていく。

最近は日が落ちるのも早いなぁ、なんて
呑気なことを考えてると

病室のドアが勢いよく開いた。





「白雪さんっ…」

『先生…どうしたんですか？』

「実は…………」











『＿＿＿＿＿＿え？』













**





【side Nanamori】





俺はまた病院に訪れた。

前に来てから2週間くらい経ったかな。



105号室のドアを開けると
そこに彼女はいなかった。



あれ。どこ行ったんだ？





『なーくん！』

「あ、A。病室抜け出しちゃダメじゃんー」

『なーくん！なーくん！』

「A…？」





抱きついてきてはぴょんぴょん跳ねる彼女は
2週間前の彼女とは雰囲気が違う。


強いて言うなら、かなり前の…………





『なーくん！私、治療法がね、見つかってね！』

「……うそ…」





耳を疑った。


あんなに治療法が見つからない不治の病だと
聞いていたのに。

俺らを忘れていく恐怖に
毎日のように怯えて涙していた彼女。



やっと…

やっとこの時がきたんだっ……！






『あれ、なーくん泣いてる？』

「ふっ…うぅ…うぁ……よかっ…た……」

『あはは、ありがとう。
治療法見つかったけど記憶が戻るには
まだまだ時間がかかるんだよね。

私もさっき、なーくんのこと思い出したから！』







何時ぶりだろう、


君のこんなに可愛くて眩しい笑顔を見たのは。




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