裏切られるくらいなら、愛なんていらない【鬼滅の刃】

玖 ページ12

･


『御館様、お時間を作っていただき感謝申し上げます』

産「うん。大丈夫だよ、どうしたのかな？」

『…先程の任務で上弦の参と接触しました』

産「……そうか、教えてくれてありがとう」


……心が暖かくなる
最近ずっと誰ともちゃんとした会話をしてこなかったから…


『…正直今の私たち、鬼殺隊では恐らく全ての隊士の力を集めたとしても勝てません。……それに』

産「どうしたんだい？大丈夫だよ、言ってごらん？」

『……舞香の事なのですが、あの子は柱…もはや鬼殺隊は向いていません。鬼と接触した際に彼女は1歩も動かず陰に隠れてるだけでした』

産「……そうだったんだね
Aは、一生懸命戦ってる…それなのに嫌な思いをさせてしまったね」

『っ……大丈夫です』


…そうだよ、私は頑張ったんだ
怖かった、初めて上弦と会って、戦って…

でも仲間は助けてくれなくて…
もしかしたら本当に私がおかしいんじゃないかって…


そう思ったけどやっぱり違う。おかしいのは彼らなんだ


産「1回話し合いをした方が良さそうだね
すぐに柱合会議をしようか」

『……いえ、柱合会議は予定通りの1ヶ月後で大丈夫です』

まだ調べなくては行けないことがある
それを終えてからの方が会議をしやすいし…


産「そうか。Aはそれでいいのかな？」

『はい』

産「……分かった。それなら柱合会議は予定通り行おう


A、私からも話をしていいかい？」

『！…勿論です』

産「ありがとう
……Aは最近少し元気がないみたいだね」

『……そのように見えますか？』

そう聞くと静かに頷く御館様

産「勘違いだったらごめんね」


…っ、なんて答えればいいんだろう
“そうです、全部舞香のせいなんです”

そう言えば全て解決するのかな
……違うよね、御館様を利用するようなことはしたくない

ちゃんと、ちゃんと自分の力で解決するんだ


産「…私は、Aが大切な存在なんだ
でもそれと同時にほかの子供たちも同じくらい大事なんだよ」

『……存じ上げています』

産「もしも私の子供たちのせいでAが泣いているのだったら……それは私の責任だ」


その言葉にハッとし頬を触ると濡れているのがわかった


『…御館様、ありがとうございます
そう言っていただいて、心が救われました

ですが決して御館様のせいではありません』

産「A…」

『大丈夫です。心配してくださってありがとうございます』


“嘘です御館様……本当はずっと辛いです
大好きな人達に嫌われる恐怖……こんなのもう2度味わいたくないです”


でもそんなことを言えるはずもなく、
私はキュッと口を閉じ、御館様に笑顔を向けた

拾→←捌

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す