第七十二話 ページ37
ut視点
……ショッピ君…そっか。せやろな。
君は僕と違って、ずーっとシッマの事見とったからな。
…………シッマが起きない現実を受け入れたくなくて、目を逸らし続けていた僕と違って。
息苦しそうに嗚咽を漏らすショッピ君の元に、シッマは歩み寄り、正面に立つ。
そして、ショッピ君の後頭部を掴んで自分の肩に引き寄せた。
kn「そない目ぇ擦ったらアカンで。跡残るぞ。
……俺の服やったら、いくらでも濡らしてええから。」
shp「ｸﾞｽｯ……ふ……肩びしょびしょにしましょか……？」
kn「やめんかいっ！！…いや、今回は許したるわ。ハッハッハッ！」
shp「(…うるっさい笑い声。でも…………あぁ。
ほんまに、この人の笑い声聞くと不安とか全部吹き飛ぶんやから……腹立つわ。)
……ふふっ。あざっす…。」
ショッピ君は、安心したように静かに笑った。
……皆のことを先輩先輩と敬っている彼だが、実際ショッピ君にとってのシッマは、心の安寧を保つ特別な"先輩"なんだろう。
なんだかんだで、"先輩"大好きなんだよなぁ……。
…………さて、僕は…。
彼らを横目に、俺はあの子の前に立った。
ut「Aちゃん。」
『っ！うつ、さm
ut「怖かったやろ？」
『！』
…この子は昔から怖がりだった。
自分に自信がないから人と接するのを怖がっていたし、恐怖画像を見るなんて論外だった。
……敵の男に脅されて、いつ殺されるか分からない。そんな状況に、彼女がいたと思うと……。
ut「よぅ頑張ったな。……もう大丈夫やで？」
そう言って、Aちゃんの頭をポンポンと撫でる。
……すると彼女は、糸が切れたように崩れ落ちそうになった。
ut「おっと。」
それを体で受け止めると、彼女は僕のスーツにしがみついてきて……泣きながら、喋り始めた。
『……おせぇんだよ、バカァッ…！
っ…めちゃめちゃ怖かったんだぞ…！…ううっ……うっ……！！』
ポスッ…ポスッ…と腹を軽く殴られる。
……全く痛くない…。
ut「うん。…うん、せやな。
ごめんな、遅くなって。」
彼女の言葉に相槌を打ちながら頭を撫でる。
…不謹慎ながらもこんなに嬉しい気持ちになるのは、
…………きっと、彼女がこんなに甘えてくれるのは、これが最後だろうから…。
ふと、赤いマフラーを揺らす男が浮かぶ。
……抱きしめたい衝動と、胸のドキドキとモヤモヤを抑えながら…僕は彼女の頭を撫で続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ショウノ - 都道府県マルチでの外道ちゃんのセリフが来たときに、叫びました。台詞要素が多くて、復習の成果が素晴らしいと思います！！ (2020年4月7日 20時) (
レス) id: 0f20d5c602 (このIDを非表示/違反報告)
ふうちゃん☆ - なんか大先生カッコよくない？怒り狂った大先生も好きかも…！ (2020年3月22日 23時) (レス) id: f19f81ecb0 (このIDを非表示/違反報告)
まるまるのし(プロフ) - ニナさん» コメントありがとうございます！！総統だからこそ、クセの強い国民をまとめられるんでしょう。気に入っていただけて嬉しいです！！ (2019年4月24日 12時) (レス) id: 99fe4741e4 (このIDを非表示/違反報告)
ニナ(プロフ) - シッマ起きてきて感動して泣いた(？)しかもその後に国民が強すぎて笑った。とりまめっちゃ好きです！ (2019年4月23日 20時) (レス) id: 0e6fc5e8be (このIDを非表示/違反報告)
まるまるのし(プロフ) - マリンさん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！！また読んでいただいて嬉しいです！！ (2019年4月22日 20時) (レス) id: 99fe4741e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるまるのし | 作成日時：2019年1月29日 22時
