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拾玖 ページ20
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寮に戻るとＡ組の皆は慌ただしく話を聞くところによると今日は“仮免試験”らしい。
ヒーローになるために重要な事で今年は一年前倒しで受けるそうだ
「じゃあ櫻宮さん、今日一日寮空けるので留守頼めますか？」
「はい、それくらい任せて下さい」
此処に住ませてもらってる身だから断る理由もない
それに下手に外を動き回っても手掛かりは見つかりそうもなかったからな…
「…頑張れよ」
皆がバスに乗ってる後ろ姿に向かって聞こえないくらい小さな声で呟いた
どんな人でも夢に向かって頑張る姿は見ていて応援したくなるものだ
ぼけっとバスに乗り込む様子を眺めていると、
「あ、あの！…応援ありがとうございますっ！」
「……へ？」
あれ、俺小さな声だったよな？普通聞こえないよな…？
「ウチ耳良いから…聞こえたんです」
「そ、そうか…まぁ、その頑張れ」
何だこれ、凄い照れくさい…
「はい！…えっと、じゃあ行ってきますね」
「あぁ、その…行ってらっしゃい」
“行ってらっしゃい”
お見送りの言葉なんて初めて言った。
帰りを待つ人も居なくて“行ってくる”すらも言わないのに…
「(何あの空間、ほんわかする…)」
「(平和や〜)」
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作者名：Pなつ | 作成日時：2018年11月1日 21時
