千年越しにこんにちは ページ37
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東堂、新田らが去った後の二人。
Aは目の前の顔見知りの敵__エンヴィーを見て、ある疑問を抱いていた。
『ねえ、あの』
「ん?」
『貴方はいつから生きてるか、だけ聞いてもいいかな』
先ほど会った、というか助けられた、という方が正しいのか…顔を合わせたあのお兄さんともしかしたら交流があるかもしれない、なんて思ったのだ。
「んん…千年よりちょっと前、くらいかしら。日本だと多分安倍晴明?とか香月…」
『え、香月って言った?』
「ええ、あの人すっごく美形だったわ。目の前で弱っていったの今でも思い出せるもん。すっごく良かった」
目の前で弱っていった、つまりこの女にあのお兄さんは傷つけられた?
香月家のことなんて全くと言っていいほど何も知らないのでほとんど情報がないが、文脈から推測するにそれしか考えられない。
その彼女が言う人の特徴は、先ほど出会った彼と全く一致する。
あれが
彼女に傷つけられた直後の姿なら。彼があの姿のまま死んでいったとしたら。
…彼は目の前の女に殺された?
「香月は美形揃いだって聞くし、あの子の子孫もいたら会ってみたいなぁ…Aちゃん何か知らない?」
『…ふふ、それ私』
「え?」
『私だよ、それ』
先祖なんて思いでもなければ交流もないけど、なんだか怒りが湧いてくる。
ヘラヘラ笑いながら、よくわからない動機で今まで何人の人が殺されたのだろうか。
正義のヒーローだとか、誰かの平和のために戦う、だとか。
普段はそういうことを心に留めて過ごしているわけではないけれど、今回はなんだかそういう気持ち。
これまで殺された人の分、私が代わりにやってやろうなんて柄にもなく思ってしまう。
少しだけ強張っている女の顔。
いい気味だ、そのまま地獄に堕ちればいいのに。
「そんな、スラグホーンの方じゃ、…?」
『強張っちゃって、そんなあのお兄さん強かったの?』
彼からしたら千年越しに挨拶でもしたいところじゃないのかなぁ、なんて思う。
Aは、自分の中で今までとは違う闘志が燃えていることを悟っていた。
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なんなん(プロフ) - 杏莉さん» ほんとうですか………めちゃめちゃめちゃめちゃ嬉しいですありがとうございます泣!!!! (2021年3月12日 21時) (レス) id: c1887ad742 (このIDを非表示/違反報告)
杏莉 - ふわああああ! 面白いですっ! 更新楽しみにしていますね! (2021年3月12日 18時) (レス) id: 8bbf1cd05e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なんなん | 作成日時:2021年3月4日 16時