第百二十五訓 ページ27
Aside
『やっと、"私"の事見てくれた』
酷く嬉しそうに微笑んだその表情を見て、なんだか泣きそうになった。ゆっくり私に歩み寄って頬を撫でる
『ねぇ、思い出して…
「私、は…」
"中沢 A"
そう、口に出したくても言葉が喉を通らない。
出るのは掠れた音だけで
『いいんだよ。中沢 Aも…ちゃんと生きている今の"私"だから』
「──ッ」
『でも、───も"私"でしょ?』
聞こえ、ないよ。
フワッと甘い香りに包まれて、目の前で鉢巻が揺れた。
『大丈夫、大丈夫だよ。怖く、ないから。これからは一人じゃないから、だからお願い──…私も連れてって』
少し寂しそうな声が聞こえて、視界の端に揺れる鉢巻がじんわりとボヤける。
『もう思い出せるよ。ずっと側で見守ってるから』
徐々に暖かかった体温が、光となって私の中に消えて行く。行かないで、欲しかった。縋り付くように抱きしめ返すと、ふふふと笑って『ありがとう』と耳元で囁く声が嬉しそうで…離れたく、なかった。
『大丈夫、一緒にいるから。…だから、銀時達の事よろしくね』
光となって
「………っ」
まだ残る温もりを逃さないように、自分の体を抱きしめる。
───「…泣いてんのか?」
そんな声が聞こえて咄嗟に顔を上げた。
見上げたそこには、困惑の表情を浮かべて私を見下ろす銀時の姿。
「銀時、またAを泣かしたのか?いい加減にせんと嫌われるぞ、貴様」
「はっ、とっくに嫌われてるの間違いだろ?」
「おなごは花を愛でるよーに優しくせんといかんぜよ金時…だからおんしゃはモテんのじゃ」
銀時「んだとテメェーらァァァ!!!」
.
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うさきよ - 面白いです‼ (9月1日 1時) (レス) @page42 id: 55ad19f9cc (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 砕けちゃいかんでしょう(笑)それから、本当に更新してくださりありがとうございます! もう一度最初から読ませていただいたのですが・・・やっぱりこの作品が大好きです! これからも頑張ってください (2022年8月24日 17時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - konさん» kon様コメント有り難う御座います。幸せです。うぅー(泣)優しいお言葉ありがたい(´;Д;`)目から汗が…。沢山妄想はしてるのですが…なかなか文字に起こさなくなってしまって。書いて消してを繰り返してました。でも、これからは当たって砕けろで更新します!(笑) (2022年8月24日 1時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 一気読みさせていただきました! すっごく面白くて最高です!! 本当に毎日更新なんていいません、どうかお体に気をつけて更新頑張ってください! (2022年6月21日 16時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - れいさん» おぉぉお!!コメントありがとございます😭そーなんです、ぼちぼち明かして行こうと思ってますッ!!応援よろしくお願いします🙇♀️ (2022年6月19日 0時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い猫 | 作成日時:2022年5月17日 19時