銀魂 【不死蝶の舞姫】3

第百九訓 ページ11

銀時side




縁側まで出れば空はすっかり夕暮れに染まっていた。



銀時「"人の一生は荷を負うて遠き道を往くが如し"。昔なァ徳川田信秀(とくがわだのぶひで)というオッさんが言ってた言葉で…」

桂「誰だそのミックス大名！家康公だ家康公！」

銀時「最初に聞いた時は何を辛気くせーことをなんて思ったが、中々どーして年寄りの言うこたァバカにできねーな…」




痛む体を障子に預ける。オレンジ色の空を見上げた。俺は昔の事を思い出す。
毎日が楽しかったあの頃。
隣にいるのが当たり前だった大切な存在。




銀時「荷物ってんじゃねーが…誰にでも両手に大事に何か抱えてるもんだ。だか、担いでる時にゃ気づきゃしねー………その重さに気づくのは、全部手元から滑り落ちた時だ」


側にある事が当たり前になるとその存在がどれだけ自分にとって大切か見えなくなる。溢れた時に、思い出すんだ。もうこの手で触れられなくなってから気づく。

そんな当たり前のことを俺に気づかせてくれたのは…Aだった。




銀時「もうこんなもん持たねェと、何度思ったかしれねェ。なのにまたいつの間にか背負い込ん(しょいこん)でた」




失うぐらいな何も背負い込ま(しょいこま)ねェと思ってた俺が不思議と




銀時「いっそ捨てちまえば楽になれるだろうが、どーにもそーゆう気になれねー。荷物(あいつら)がいねーと歩いててもあんま面白くなくなっちまったからよォ」




アイツらと過ごしているうちに、もう一回ぐらい背負い込む(しょいこむ)のも悪くねェ…そう思っちまった。

　

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