第四十九訓 ページ50
no side
沖田「なんっつー間抜け面してんだァ」
戻ってきた気配に目を向ければ沖田の姿。
その手にはペットボトルとハンカチが握られていた。
Aは気まずそうな笑みを浮かべるだけで、何も言わない。
その痛々しい表情を見て
沖田「……ハァ…」
ため息を落とす。沖田は彼女の前に膝を折ると、慣れた手つきで足袋を外した。
沖田「こりゃーひでーや」
元々血が滲んでいた足袋。
取り去れば両足の親指部分が擦れかなり酷い靴擦れができていた。
持っているペットボトルの水でハンカチを濡らし
「…しみるかも」と付け加え傷口に触れる。
ピリッとした痛みを感じ、Aは堪らなく顔を顰めた。
「いっ…たぁ… もっと優しくやってよッ」
沖田「ここまでほったらかしたAさんの自業自得でさァ」
「我慢しろ」っと傷口を綺麗にしていく沖田。
仕方なく、ぐっと痛みを耐える。
ぺたぺた ぺたぺた
「いっ…ちょ、もういいから!」
沖田「まだ綺麗になってませんよ」
未だに触れ続けているが傷口は十分綺麗になっている。
ねちっこく動く手首を慌てて掴んだ。
「いや、なってる!十分綺麗になったからっ!」
本当にもう大丈夫だからと手を払いのければ小さい舌打ちと共に「つまんねぇーな」と言って解放される足首。「やっぱり楽しんでたんじゃん!」とAは文句を言った。
隣のベンチに腰掛けた沖田はじっとAを見つめる。
沖田「朝は上機嫌で出かけて行ったと思ったらァ泣いてたり…忙しい人ですねィ」
「…っ…それは」
当然泣いてた場面を目撃されている訳で。そこを揶揄われない訳がないと思ったAは口籠もった。
沖田「その様じゃデートは上手くいかなかったみてーですね」
「……デートじゃ、ないし」
落ち着いたはずの感情がまた乱される。泣いちゃダメだと、唇を噛みしめた。
沖田「あんまり噛むと…ブスがもっとブスになるぜィ?」
伸びてきた指先がAの頬に添えられる。
流れる様に顎先に降りてきた指先で目線が上に向けられた。
「ッ…そーゆう時は…可愛い顔が台無しって、言えよっ…バカッ」
沖田「ブスはいくら頑張ってもブスのままなんでィ。ブスに可愛いなんて誰が言うんでさァブス」
「っ…ブスブスなんべん言えば気が済むんだよ!!傷つくわ!」
沖田「俺ァ素直なんで本当の事しか言えねェ」
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迷い猫(プロフ) - なみさん» お返事遅れてももも、申し訳ないです!!!なみ様読んでくださってありがとうございます。いやいや、最高だなんて…逆に読みづらくないですか!?大丈夫ですかね?ガクブル またお暇な時でも読んでやってください(土下座)コメントありがとございました!! (2022年6月6日 18時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
なみ(プロフ) - この小説の表現好き〜♥️♥️甘いスチュの時、乙女心のある表現があるとこっちまでキュンキュンしちゃいます!!(*´▽`)めちゃ好みの合う小説見つけたぞー!最高っす作者さん!!ありがとう!! (2022年5月29日 9時) (レス) @page31 id: 617d92d894 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い猫 | 作成日時:2021年11月28日 20時