5.邪魔 ページ6
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放課後。下駄箱で彼を待っていると、トントンくんの言った通りに帰ろうとしているのを見つけた。
やる気のなさそうに俯いて歩いている彼に「駄目だよゾムくん、帰っちゃ」と言うと、パッと顔を上げ驚いてる様子。どうやら私が待っていた事が意外のようだったらしい。
自分でした事が仇となって返ってきそうになった事に心底腹が立っている私は、呆気にとられている彼の手を引いて生徒会室に向かった。
運動部の掛け声、吹奏楽部の楽器の音、蝉の鳴き声。耳に入る全ての音が煩わしく聞こえる。
どうしようもない苛立ちに、掴んだ手にただ熱がこもるばかりだった。
______ガラガラッ、
「トントンくん、連れてきたよ」
生徒会の扉を開けてそう言うと、トントンくんから「おーありがとな」と返事がきた次の瞬間、大くんから抗議の声が上がった。
ただでさえ腹が立っているのに、そんな声を聞いたら余計に腹立たしくてしょうがない。態とらしく微笑んで「女の子にお前って言わないの。分かった？」と言うと、それが伝わったのか片言の返事が返ってくる。
そうして彼を大くんの隣に座らせ、グルッペンから労いの言葉を貰う。トントンくんはこの場に全員いるのを確認してこう言った。
「今日からテスト最終日までの約二週間、毎回恒例勉強会をやんで。今回は三年の天羽にも手伝って貰って、俺らで教えていくからそのつもりでな」
そう、これが当初の予定だった事。今日彼と三度目の対面をして、少しずつ落としていくつもりだった。けれどまぁ、今日よりも前に運命的に出会えたのだから別にいいが。
それじゃあ各自始めてくれ、と言うトントンくんの声を合図にゾムくん意外の生徒会メンバーから話しかけられる。
「やっと手出したんやな」とか「めちゃめちゃ機嫌悪かったやん」だとか言われるがどうでもいい。それよりも大くんと内緒話しているゾムくんの方が気になって仕方ない。
それとなく近づいて聞き耳を立てると、どうやら女好きの大くんが女である私に「お前」と言ったのが疑問らしかった。そうして大くんから従姉妹である話を聞いている彼は、大くんの言った“不純”という言葉に反応する。
まだ駄目。まだバレちゃいけないのに……______！
「何てったってアイツは______」
「大くん」
言葉を続けようとした大くんに名前を呼んでそれを阻止する。どうやらそろそろ釘を刺しておかなきゃいけないらしい。
「少しお喋りが過ぎるんじゃない？」
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