断った誘い ページ28
マツバsaid
いや、なんでいきなり決めるの、お父さん！
私は心の中で、怒りながらもツッコんだ。
私は今日、昨日出来なかった夏休みの宿題をしようとしていたのだ。
なのに、起きてからいきなり【海に行こう！】だなんて、お父さんはどうかしている。
こっちの予定も知らずに、勝手に予定を決めつけないでほしい。
思春期だから、と言われそうだが、元々私たち子供は両親に振り回されていた。
勤めていた会社は倒産するは、スラム街で生活するは、いきなり引っ越すは…。
これまで起こしてきた両親の行動は、枚挙にいとまがないほどなのだ。
「やった〜！お父さん、お母さん！早く海へ行こう！」
「私、いっぱい海で遊んだら、スイカ割りをしてかき氷を食べたい！」
思春期突入前のユキバとチャバが、無邪気にお父さんに言った。
でも、現在思春期真っ只中のキクバとカツ兄ちゃんは、見るからに嫌そうな顔をしている。
そんな私達の気持ちなどさも知らず、お父さんとお母さんは準備を始めた。
「ねえ、3人も一緒に行こうよ！海はすごい楽しいんだよ〜！」
「いや、私は学校の夏休みの宿題をしなくちゃいけないから…。」
そう言うと、思春期を経験したヨシ兄ちゃんとノブ兄ちゃんが2人を宥めた。
「まあまあ、2人とも。3人は忙しいから、代わりに俺たちが行くよ。」
「ユキバとチャバは何をしたいんだ？付き合ってあげるよ！」
2人がユキバとチャバと喋りながら、居間を出て玄関へ行った。
両親が、車の中に荷物を入れていく。
「それじゃあ、3人とも！お留守番よろしくな〜。それじゃあ！」
お父さんが車を出発させ、姿が段々と遠くなって行った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ〜…。やっと行った。ていうか、何でいきなり決めるの？お父さん！」
「それな！俺だって夏休みの宿題あるんだから、決めつけないでほしいぜ！」
「私たちが思春期に入ってから、お父さんにムカついてきたんだけど、どう思う？」
2人が【それな！】と同時に言い、私達は別れてそれぞれの部屋へ行った。
いくら家族思いの私でも、流石にこの行動はムカつく。
お母さんは私達の思いを尊重してくれるのに、お父さんはちっとも尊重してくれない。
そのお母さんも、度々ムカつく時もあるけど…。
ああ、もうやだ！
私はイライラしたまま、筆箱からシャーペンを取り出して、宿題に取りかかった。
coming soon…。
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作者名：羽衣 | 作成日時：2021年4月2日 21時
