伊吹くんの願い ページ18
マツバsaid
7月中旬。
夏祭りの日が少しずつ近づいて来て、【夏祭り委員会】が設立された。
みんなはこの頃、夏祭りでワクワクしているのか、顔が明るくなっている。
特に女子は、何の柄の浴衣や帯にしようかと決めている姿が、結構見られた。
私は後に困らないように、梅雨の季節から決めてある。
「マツバとスノウはいいなぁ〜!私、目当ての浴衣と帯を他の誰かに取られちゃったの!」
「ふふっ、私はマツバの影響で6月から決めたもんね!まっ、バハは忙しかったか。」
女バスのデビュー杯で、とスノウが付け足すとムカついたバハがスノウを睨んだ。
スノウも、負けじと睨みつけている。
真夏になっても変わらない2人に、私はひそかにため息をついた。
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伊吹くんに勉強を教え始めてから2週間が経ち、私達は入学したての頃よりも仲良くなった。
「ねえ、伊吹くん!あと1週間とちょっとしたら、夏祭りが行われるんだよ!楽しみだなぁ〜。」
「うん、その話は玲瓏寮でも持ちきりで、男子達が女子達の浴衣姿を楽しみにしているらしい。」
こりゃ、狙っている男子がいる女子達は頑張らないとな…。
すると、伊吹くんが笑顔から真剣な顔に変わり、私の目を真っ直ぐ見て言った。
「実は、アリエスにお願いしたいことがあるんだけどね…。」
「何?私に思いっきり言っちゃってくださいっ!」
胸を叩き、私は伊吹くんの返答を待った。
少し間を開けて、伊吹くんが口を開けてこう言った。
ー夏祭りに、連れて行ってほしいんだ!
「なぁ〜んだ、そんなことか!」
もっと真剣なことかと思ったが、友達としてのお願いだったので、私はホッとした。
「……ってことは、夏祭りに連れて行ってくれるの⁉」
「もちろんだよ!他に、どんな返答があるっていうの?」
伊吹くんはやった〜!と喜び、満面の笑顔を見せた。
その光景を微笑ましく思いながらも、ハッと気づいたことがあった。
「でも、アルビノの方は大丈夫なの?その日は晴れで満月だから、月明かりもすごいし…。」
それに、飾られているライトアップ用の提灯の明かりや、花火の光など、問題は結構ある。
「まったく大丈夫、という訳ではないけど太陽ほどではないよ。」
「はぁ〜、良かった。って、もうこんな時間⁉それじゃあ、また明日ね!」
私は7号室の部屋のドアを開け、玲瓏寮を出た。
coming soon…。
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作者名:羽衣 | 作成日時:2021年4月2日 21時