【橙】指輪をふたつ (ページ6)

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6つ目の指輪ページ6

毎週金曜のお話は
【付き合う為に】から
【好きな人と付き合う為に】に変わった。
その都度私は部屋に帰った時
いつもたくさん泣いていた。

「どうすればデート出来るかな？」

気付けば2人ともタメ口になっていて、
気付けばてつやはコンビニの店員さんに恋をしていて、
気付けば私は回数が増えるごとに辛くなっていた。

「なるべくその子がいる日
毎日行ってまず顔を覚えてもらうべき。」

この気持ちを何度も何度も
消してしまおうと思った。
けど、毎週金曜日にまだ
貴方のことが好きなんだと思い知らされる。

「中々行けないんだよねー。
仕事もあるしさ。」

たまにブサイクな顔で

「でも会う度もっと好きになってる。」

極々たまにイケメンな顔で

「お前は？」

いつもの笑顔で毎回好きになってる。

「おーい」

「え？なに？」

「Aは好きな人とかいないの？」

貴方が好きですと言えたなら
どれだけいいのだろうか。
貴方が好きですと言ったら
どんな反応をするのだろうか。

「いるよ、多分。」

「いるの！？
俺もAの相談を受けることに
なるなんて思ってなかったなー」

「...いい。」

「へ？もう1回言って。聞こえなかった。」

「叶わない恋だって分かってるから
相談なんて、いい。」

私の糸がプツリと切れた。
涙が零れる、そう思った時

「なんでそう言いきれるの。」

悲しさが含まれた声が聞こえた。

「無理よ。あんなに(こんなに)幸せそうなのに。
ごめん、やっぱ帰る。」

来週からは憂鬱な金曜日に
なってしまいそうだな、なんて
頭の中で呑気に考えながら走った。
突然大雨が降る。
今日ばかりは雨に感謝。
だって

泣いてるのがバレないじゃない。