【橙】指輪をふたつ (ページ3)

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3つ目の指輪ページ3

今日という金曜日さえ乗り越えれば
2日間お休みが貰える！
ご褒美が待っていると思えば
疲れは溜まっているけれど
不思議と頑張れるような気がした。

「...あの」

あの人、身長高いし髪が派手。
見覚えがある。
えーと、てつやさんか。

「はい、受け渡しは
月曜日ではないでしょうか。」

「えーと、その...」

目が赤い。
どうしてそんなに悲しい顔をしているの。

「どうされましたか？
どうぞお座り下さい。」

てつやさんは下を向いてばかり。
中々話しだそうとしてくれない。

「注文、取り消してもいいですか...」

その時、私は全てを察した。
あんなちゃんにプロポーズする前に
きっと振られてしまったんだな、と。

「...はい、わかりました。」

「おねがい、しますっ…」

見てるこっちも辛い。
てつやさんがどれほどあんなちゃん
のことが好きだったのか分からない。
けど、本当に好きだったんだなって
伝わってくる。

「もし私でよければお話、聞きますよ。」

なんでこんなことを聞いたのかは
分からないけど、今のてつやさんは
誰かに本音をぶつけたいはずだ。
その誰かは他人の方がきっといいんだ。
この状況でその条件に合うのは
私しかいない。私が聞くべきだ。

「ありがとう、ございます。
店内では迷惑ですよね。
仕事終わるの何時ですか？」

「19時頃です。」

「じゃあ、19時過ぎに
店の前で待ってます。」

「はい、またあとで。」

この後の仕事はなぜか
いつもよりも早く終わったような気がした。
体全体が軽く、まるで元気な翼でも
生えてるんじゃないか、と
有り得ない想像をする程に
私の頭は夜の予定のことでいっぱいだった。