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八「ほんとは、七瀬が姉について何も言わなかったことに傷ついてんだろ。」
九「……そんなこと、」
八「俺達も同じだ」
こういう時、楽は本当にこっちの心を掴んだように言ってくる。
ボクのことなんて丸わかりのように。
八「お前はまだ俺達に話せないことがあったんだって思ったらこっちも傷つくんだよ。なあ、龍?」
十「……うん。まだ信頼されてないのかなって思う。」
2人とも少し傷ついた顔をしていて、今のボクもこんな顔をしてるんだと感じる。
十「……天、表面上は家族じゃないとしても、血の繋がりは変わらないだろ?それに、病気だった陸くんもそれを支えてた天も、両方支えてくれてたのはきっとお姉さんだったんじゃないかな」
思わず俯く。
十「本当は会いたいんだろ?陸くんと再会することが出来て、無理だって分かってても心の底では会いたいって思ってたんだろ?」
こういう時の2人は、怖い。
正論ばかりぶつけて来て、返す言葉なんてなくなる。
十「会いたいって気持ちに、表面上の家族じゃないからなんて理由はいらないよ。会いたいから会う。それでいいじゃないか。」
九「……でも、」
ようやく絞りだせた一言に、2人とも耳を傾ける。
九「嫌われてるかもしれない。もう一回会って、それで睨まれたりしたらって…」
まだ黙っている2人の顔を見れずに、言葉を続ける。
九「家族を裏切ったって、きっと思われてる。陸だって最初は思ってた。」
本当に言いたいことはなんなのか。
分かってる。分かってるよ。
頼れ、2人を。
九「…………怖い」
小さな声で言った一言に、2人は何故か安心したように笑った。
九「……なんで笑うの」
八「やっと頼ってくれたな」
十「ははっ、そうだね。」
一度上げた顔を、思い切り逸らす。
十「大丈夫だよ。天と陸くんのお姉さんなんだ。きっと和解出来る。陸くんに、話してみよう?」
そう言った龍に、小さく頷いた。
本当は、会いたい。
沢山支えてくれて、甘えさせてくれた、たった1人の自分の姉に。
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あんず(プロフ) - 更新ありがとうございます!!これからも楽しみにしています(o^^o) (2022年5月22日 13時) (レス) @page14 id: f3f41a7a80 (このIDを非表示/違反報告)
みくる(プロフ) - ぽんさん» 申し訳ありません!直しました!今後無いように気をつけます! (2021年8月7日 19時) (レス) id: 6ad31aa671 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みくる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mikuruhomupe/
作成日時:2021年8月7日 19時