お し お き た い む 【二 口 堅 治】

お ページ1

……



_____冷たい雨が体を打ち付ける中、



彼女はコンクリートの道を裸足で走っていた。






｢やばいやばいやばい逃げなきゃ死ぬ！！！！まじで死ぬ！！！！｣









彼女はつい先程まで、部屋に閉じ込められていた_____いわゆる軟禁状態だった。









その犯人は私と同じ部活のイケメン後輩なのだが、まあそんなこと今はどうでもいい。





彼の隙を見て必死に逃げ出して来たのだ。









｢はあっ、はぁ、とりあえず……ここまできたら大丈夫かも｣









｢捕まえた、｣









一息つこうとしたところで、ゾッとするほど落ち着いた低い声が耳に響いた。









その瞬間、思考回路は停止し身体は硬直してしまった。









｢ねぇAさん、



_____逃げられると思ってるんですか？｣








現役舐めちゃいけませんよ、と言われながら壁に押さえつけられた。




そして、抵抗も虚しくそのまま抱きかかえられてしまった。






｢家に帰ったらわかってますよね｣




｢……｣








｢……返事｣








｢……はい……｣





彼の冷酷な言葉に従う術しかなかった。









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