【鬼滅の刃】精霊遣いは鬼滅の刃の世界に来たけど、原作ぶっ壊れ過ぎて混沌だった！

其ノ参拾　花柱の治療 ページ31

百合さんにそう言われて、なんだその事かと強張っていた体の力を抜く。


「リスクとか負担とか、この方法を思いついた時から覚悟していたよ。私は今目の前に居るカナエさんを助けたい。だから、百合さんの力を貸してください」


最後だけ敬語になったけれど、そんな事は気にしない。
すると、百合さんははぁ、と一つ息を吐いた後、分かったと言って、何かを呟くと淡く光り出した。


『いい？絶対に無理をしては駄目よ』


「分かってる」


私がそう言うと、百合さんの光が私を包み込んだ。
その瞬間、私の中で途轍もなく強い力が身体中を巡った。
慣れない感覚に失神しそうになりつつも、なんとか踏ん張って耐える。
そして、カナエさんの身体に手を翳して、百合さんの力を施す。

頭の中で百合さんが伝えてくれた所の不具合を治す。
そして、最後に精神干渉をして、負の感情を浄化する。
これが一番負担の大きい事で、上位精霊でも中々出来る者も少ないと云う。

精神干渉をすると、辺りが悲しく辛く、そして重い空気に変わった気がした。
息苦しささえ覚えた。
実際はそんな事は無いらしいけれど。
これが、今のカナエさんの精神の状態。
はっきりいうと、良いものとは言えない状態だ。
ストレスで亡くなる人もいるからね。

私は負のエネルギーを包み込むように力を込めると、徐々に空気が明るく軽いものに変わっていった。
私は一息ついて精神干渉をやめると、百合さんが私の身体から出て行った。
その瞬間、不思議な感覚に襲われて、座り込みそうになったところを、しのぶさんが支えてくれた。
それを見た百合さんは顔を顰めて言った。


『全く…あと一歩で危なかったわ。暫く精霊の力を借りるのはやめなさいね』


「ごめんなさい、百合さん。ありがとう」


すると、百合さんはふっと微笑んで私の頭を撫でると、そのまますうっと消えていった。
私は大分感覚を取り戻して来たので、自力で立って、しのぶさんの方を見た。
彼女の空気は不安そうな、困惑したものになっていた。
…あ、そうか。
百合さんは私の頭の中に話しかけてたけれど、私は直接話していたから、独り言言っているように聞こえたのか。
…なんか、恥ずかしいな。
そんなことをちらっと考えた後、私はしのぶさんに言った。


「治療は成功ですよ、しのぶさん。カナエさんは今まで通り過ごすことができます。もうじき目も覚ますでしょう」

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