其ノ弐拾玖 一週間後の変化 ページ30
あれから一週間が経った。
相変わらず、カナエさんは目を覚まさない。
その間に、色々あった。
一番印象的だったのは、カナヲと錆兎と真菰がお互いに砕けて話せる程仲良くなっていたということかな。
だけど、笑顔は貼り付けたような感じになっていて、カナエさんのことを気にしていることは手に取るように分かった。
それにここ最近の空気もどんよりと重い。
私はカナヲと錆兎と真菰が縁側に座っているのを確かめて、ここ一週間毎日通っているカナエさんの眠る部屋に入った。
隣の椅子にはいつものようにしのぶさんが座っていて、私を見ると、弱々しく微笑む。
「おはようございます、しのぶさん」
「おはようございます、Aさん。カナヲに会いましたか?」
「はい。…カナエさんは?」
すると、しのぶさんはただ首を横に振った。
まだ何も起きていないということだろう。
しのぶさんはなかなか眠れないのか、目の下の隈が一週間前よりずっと酷くなっていた。
空気も不安定で、今にも倒れてしまいそう。
やっぱり、お姉さんが心配なんだろうな。
私は少し息を吸った後、この一週間考えた方法を伝えた。
「しのぶさん。少しカナエさんの治療をしても良いですか?」
「治療…ですか?」
「はい」
私がしのぶさんの目を見て言うと、少し間を開けて、自分が居てもいいのならと承諾を得た。
私はカナエさんの側に立って、目を瞑って手を組む。
数秒後、空気が澄んだように感じて目を開けた。
すると、目の前には百合さんが居て、少し不安そうな困ったような微笑みを浮かべていた。
横で驚いて少し放心状態のしのぶさんはそっとしておこう。
『Aったら、私を棲ミ家から呼び寄せて…。リスクが大きいのを理解しているのかしら?』
百合さんは私の脳内に直接話しかけるように言った。
彼女は、まだ力を充分に取り戻せていないらしく、棲ミ家の外に出るには、現在棲ミ家の精霊遣いである、私の体力を必要とするらしい。
でも、カナエさん助けたいしなぁ。
「私は大丈夫。それより、カナエさんを助けてほしいの。体の一部が負傷してしまっているようで…。一週間前から目を覚まさないの。治療出来る?」
すると、百合さんはカナエさんをじっと見つめると、私の方を見て言った。
『結論から言うと出来るわ。ただ…』
「ただ?」
『貴女にもっと負担が掛かってしまう』
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抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです!1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください!更新お願いします!!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして!型の提案ありがとうございます!とても良いですね!是非採用させてください!説明もつけて頂きありがとうございます! (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう?説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です!返信ありがとうございます! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹麦 | 作成日時:2019年12月21日 19時