其ノ弐 悪鬼 ページ3
「そのご先祖様ってお父様よりお強いの?」
「きっとね」
お母様は必ず、霊にも妖にも鬼にも善い者と悪い者がいると、いつも話していた。
お父様は、悪い鬼しか斬らないと、いつも言っている。
そんな風に話していると、玄関の方から戸が開く音がした。
ちょっとした空気の揺れと、匂いで誰か直ぐに分かった私は、廊下を駆けてその人に抱きついた。
「お帰りなさい、貴方」
「お父様!お帰りなさい!」
「嗚呼、只今戻った、A!百合!」
そう言って、軽々と抱き上げてくれるのはお父様。
悪鬼を斬るお父様は、鬼滅隊という組織の柱なんだそう。
沢山悪鬼を斬った人がなれるのだと、前に教えてくれた。
私を抱き上げたまま廊下を歩くお父様の羽織に顔を埋めると、いつものあまり好きになれない匂いが鼻を突いた。
「んん…。今日も、血の匂いがする」
「嗚呼…。今日も沢山斬ってしまったからなぁ…」
「そんなに悪鬼ばかりなの?」
「そうだなぁ。人肉などを喰い散らかす悪鬼だけではないんだよ」
他にどんな悪鬼がいるのだろう?
そう思って首を傾げると、お父様は悲しそうに笑った。
「無理矢理鬼にさせられて、自我を忘れて人を喰う者もいるんだ」
それを聴いて、私はなんだかその人達が可哀想に感じた。
「鬼を人に戻すことはできないの?」
「そうだなぁ。鬼の医者の珠世さんという方は、その方法を模索しているそうだ」
私は目を丸くした。
鬼も医者になれるのだ、と。
自我も持ち、自分の意思で生きる鬼もいるのなら、共存の世界が作れるのではと、聞いた。
すると、お父様は再び悲しそうな顔をした。
「鬼は皆、鬼舞辻無惨という者によって変えられてしまっていて、鬼達はその名を口にすると、呪いが発動してしまい、その場で惨殺されてしまうんだ」
だから、共存の世界は難しいかもしれないな。
そう言われて、私はその者はなんて酷いんだろうと、思った。
その後は、今日の特訓の成果の報告や、出来事を話した。
平和な時間が壊れるまで、あと僅か───。
84人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです!1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください!更新お願いします!!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして!型の提案ありがとうございます!とても良いですね!是非採用させてください!説明もつけて頂きありがとうございます! (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう?説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です!返信ありがとうございます! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鷹麦 | 作成日時:2019年12月21日 19時