其ノ肆拾弍 悪鬼が襲った村 ページ43
村へ着くと、其処は変に静かだった。
寝息すらも聞こえない。
そして…
「この感じ…悪鬼だ…」
空気も悪鬼独特の気分が悪くなるようなものだった。
村の中を探し回っていると、微かに声が聞こえた。
私はその声がする方へ向かって、軽く扉を叩く。
「ごめんください。何方かいらっしゃいませんか？」
すると、少し、ほんの僅かだが、扉が開いて、私と目が合った。
「に、人間…？ど、何方様でしょうか…？」
嗚呼、凄く怯えている。
その男性は声が震えていて、空気も恐れているようなものが漂っている。
「私は悪鬼を狩る者です。此処ら辺で悪鬼が出たと伺ったので、訪ねた次第です」
「あ、嗚呼…！鬼狩り様…！来てくださったのですね…！鬼が、鬼が村の住民を襲って殺して行くんです…！私達も怖くて、ずっと押入れの中に隠れておりました…！どうか、どうか助けてください…！」
奥の方に目を向けると、確かに押入れから数人の気配と怯えた空気を感じられる。
私は私の後ろに居る二人に目配せをして、二人が駆け出したのを見送ると、男性の方を向いて、懐からある袋を取り出した。
「必ず斬りますので、ご安心を。…それから、此方をお持ち下さい」
「これは…？」
「藤の匂い袋で御座います。悪鬼から貴女方を守ってくれる筈です」
そう言うと、彼はありがとうと言って、押入れの中へと戻って行った。
私は扉を閉めて、悪鬼の発する空気を辿って走った。
すると、近くで何かが壊れる音がした。
急いで向かうと、其処には悪鬼が居て、その周りに小さな男の子を抱き抱えて攻撃を避けている真菰、女性を守りながら攻撃を刀で弾いている錆兎が居た。
「二人とも、遅くなった！」
「大丈夫だよ！でも、この男の子、怪我してるっぽい！ギリギリ間に合ったけど、気絶してる！」
「大丈夫だ。だが、流石に守りながらは戦えない。すまない！」
男の子の方を見ると、確かに血が出ている。
女性は悪鬼と男の子を交互に見ている。
恐らく、男の子の母親なのだろう。
「了解。真菰、私が男の子の治療をするから、連れてきてほしい。錆兎も女性の方を此方に連れてきてくれる？私が治療している間に、二人で悪鬼を斬ってほしい。お願いしても？」
「勿論！」
「嗚呼」
二人は男の子と女性を建物の陰に連れて来ると、直ぐに日輪刀を鞘から抜き、悪鬼の元へと駆け出して行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです！1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります！コメントありがとうございました！ (2020年5月30日 22時) (
レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです！これからもがんばってください！更新お願いします！！！ (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=ﾟωﾟ=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして！型の提案ありがとうございます！とても良いですね！是非採用させてください！説明もつけて頂きありがとうございます！ (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=ﾟωﾟ=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう？説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です！返信ありがとうございます！ (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鷹麦 | 作成日時：2019年12月21日 19時
