轟家の末っ子は無個性だったが異能を授かった。2【ヒロアカ×文スト】

硝子の中の水。 ページ6

「へぇ…。雄英高校だって？あの国立の何とかかんとか」




「晶子さん、1番重要な所が抜けてる」




清潔な白衣を着て、誰かの診断書(カルテ)を片手に晶子さんは笑った。何年も変わらない笑顔で。

矢張り晶子さんは医療の事にしか興味が無いのだろうか、雄英高校と云ってもヒーロー科、としか分かっていない様だった。





「Aが後悔しなければ善い話なンじゃ無いのかい？」




「うん…そうだよねー。やっぱり晶子さんはそう考えるよね」





後悔か、と小さく呟いた。
誰にだって後悔とは少なからず有るのかも知れない。晶子さんだっていつか、苦々しげに自分の過去を語ってくれた。





「バターくんの事だったら大丈夫。
もう済んだ事なんだし、何年も前の話だし」





「まァ…あれはしょうが無かった、と云えば済む話じゃァ無いと妾は思うけどねェ。
A、アンタが決める権利は有るンじゃ無いのかい？
A自身、相棒をプロヒーローに殺されて居るンだしねェ」





「善いんだよ。ま、あの時は結局ホークス、とか云うヒーローも救えた訳だし」






「お人好しだねェ」








ハァ…と掌に頰を当てて晶子さんは溜息を吐いた。そして硝子に入った水を一口飲む。
多分社長も乱歩さんもAの事を心配して居るンだよ、と小さく呟いた。



私は其れを聞こえなかったフリをした。





私は多分、過去から逃げる弱虫なんだ。

さぁ、行こう。→←応接間にて。

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