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壱話 ページ3

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私と蜜璃は双子だった。

姉の蜜璃と妹の私。

二卵性だったこともあり、幼少期から外見や性格は全く似ていなかった。

唯一同じであったのは持って生まれた黒髪と目の色、両親がお揃いで買い与えてくれた着物のみ。

後ろ姿で間違えられることは多かったが、正面から見て双子だと言い当てた人はいなかった。


そのうち蜜璃の髪の色が変わり、お揃いも減り、体つきも目に見えて違ってきた。

最初はそれでも気にしなかった。

蜜璃とも変わらず仲良く過ごしていたし、「髪の色可愛いね」なんて笑顔で話していた記憶もある。


私たちが変わったのは周りの目が気になりだしてからのことだ。


母はたまに、私と蜜璃にお使いを頼んだ。

まだ小さな弟たちのお世話で忙しい母を助けられるならと、私たちは喜んでそれを引き受けた。


2人で手を繋いで店に向かう道中、私は近隣の人たちがチラチラとこちらを見ているのに気がついた。

何かおかしなところでもあるだろうかと格好を確認してみるが別段何も変わらない。

蜜璃は気づいていないようだったが、店に向かうまで色々な人から視線を向けられたのは気分がいいことではなかった。


会計の待ち時間、私はその場を少し離れ、気づかれないようにその人々の会話を聞いた。

静かな場所で毎日過ごしている分、人より少し敏感な聴力を持っていた私にとって、その会話の内容を捉えるのは造作もないことだ。


「先刻の子でしょう?甘露寺さんのもう1人の娘さん。」

「ええ。蜜璃ちゃんと双子なんですって。あんまりにも似てないから驚いちゃったわ。」

「蜜璃ちゃんは可愛らしいのにねえ。あの子の目はなんて冷たいのかしら。」

「礼儀がなってなくて挨拶もしないのよ。甘露寺の奥さんも蜜璃ちゃんもあんな子が家族なんて可哀想ね。」



知らない声。

思ってもいない言葉。


心を突き刺すような衝撃が走った。



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名無し - 辛ちゃんかわよっ! (2020年4月21日 20時) (レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
チロルチョコ - 続きをぉぉ (2019年12月15日 20時) (レス) id: 03d659cd41 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ。@さぶ - めちゃめちゃ泣きました・・・!大好きです!更新がんばってください!応援してます! (2019年7月21日 13時) (レス) id: dcfa07bf42 (このIDを非表示/違反報告)
白波瀬(プロフ) - なーなー@今日俺さん» ありがとうございます。そこまで感動してくださるとは驚きと嬉しさでいっぱいです…!拾陸話からの件、ご指摘ありがとうございます。主人公の名前のことでしょうか?こちらで確認したところ問題ないはずなのですが不具合ですかね…。 (2019年7月7日 16時) (レス) id: 5e8c752928 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー@今日俺(プロフ) - 何度もすみません。拾陸話からでした。 (2019年7月7日 14時) (レス) id: 17dfab9de5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白波瀬 | 作成日時:2019年6月15日 10時

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