拾陸話 ページ18
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… 、…さ… 、…様！
「辛様！」
「！は、はい。」
自分の名前を呼ばれていることに気づき、我に帰った。
薄明るい光に照らされる目の前の風景は昨晩任務に向かう際に見た覚えがある。
「大丈夫ですか？最近は遠方の任務続きですし、お疲れなのでは…。」
事後処理に駆けつけた馴染みの隠の方が心配そうにこちらをうかがっていた。
「お気遣いありがとうございます。少し考え事をしていただけなので平気ですよ。」
軽く微笑みかけてから息をつく。
駄目だな。また昔のことを思い出していたらしい。
最終選別に受かり、この隊服に袖を通してから長らく経つというのに。
姉との比較にも耐えて、やっとここまで上り詰めたのに。
まだ前を向けずに振り返ってばかりいる。
自分の小さな手を見つめ、強く握りしめる。
「伝令！辛、本部ヘ向エ！」
いつのまにか現れた鎹鴉が頭上でそう言った。
いつも思うが、任務中この鴉はどこにいるのだろう。
「本部？」
それにしても伝令内容が 本部へ向え など珍しい。
近日の任務報告だろうか。
いや、強力な鬼を倒したわけでもないのに本部へ出向き直接報告する必要はない。
なら何故…？
「至急向エ！カァ！」
しかも至急って。
ここから本部までどれ程の距離があるかわかっていてのことだろうか。
…致し方ない。
「わかりました。
では、私は伝令通り本部へ向かいます。すみませんが、後の処理はお願い致します。」
隠の方々にそう告げ、ふわりと外套を翻す。
「ここから本部へ、ですか？辛様、ここ何日もお休みになられていませんよね。少し休まれてからの方が…」
「大丈夫です。鬼殺隊隊士である以上、任務の遂行が第一ですから。
それに伝令がお館様のご意向なら、私はただ従うまで。」
後ろへ一礼し、勢いよく地を蹴る。
押し寄せる風がやけに冷たい。
本部に収集された以上、お館様直々の話だろう。
何の話だろうか。
お館様の容態も気がかりだが、如何だろう。
前回本部へ伺ったのは階級が甲に上がった時だ。
しのぶさんが当時の十二鬼月、下弦の肆を倒した時。
偶々居合わせた私がその周囲にいた隊員についての報告に上がった。
当時もお館様はご病気のせいで痛々しい風貌に思えた。
ご壮健であれば良いのだけれど。
そんなことを考えながら、私は鬼殺隊本部である産屋敷邸へと向かった。
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名無し - 辛ちゃんかわよっ！ (2020年4月21日 20時) (
レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
チロルチョコ - 続きをぉぉ (2019年12月15日 20時) (レス) id: 03d659cd41 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ。@さぶ - めちゃめちゃ泣きました・・・！大好きです！更新がんばってください！応援してます！ (2019年7月21日 13時) (レス) id: dcfa07bf42 (このIDを非表示/違反報告)
白波瀬(プロフ) - なーなー@今日俺さん» ありがとうございます。そこまで感動してくださるとは驚きと嬉しさでいっぱいです…！拾陸話からの件、ご指摘ありがとうございます。主人公の名前のことでしょうか？こちらで確認したところ問題ないはずなのですが不具合ですかね…。 (2019年7月7日 16時) (レス) id: 5e8c752928 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー@今日俺(プロフ) - 何度もすみません。拾陸話からでした。 (2019年7月7日 14時) (レス) id: 17dfab9de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白波瀬 | 作成日時：2019年6月15日 10時
