拾伍話 ページ17
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師範から贈られた日輪刀を何度か握り直す。
それは今まで握ってきたどの刀より手に馴染んだ。
稽古用に使っていた仮の刀と比べてもその差は歴然。
刃が振るいやすく、呼吸を使う上でだいぶ楽になる。
最近は呼吸をなるべく長く続けながらの訓練を行っているが、果たして最終選別までに形になるのかは不安だ。
それほどに呼吸の持続は苦しい。
繊細でいて力強く、気を抜けば全て崩れ落ちる。
それでも常に呼吸を使っていると全ての感覚が研ぎ澄まされ、技の精度や身体能力自体が大幅に上がっているのがわかる。
なんとかして習得しなければならない。
精神統一。
常時頭の中に呼吸を続けると言う意識を持つ。
「ッ！…びっくりした。」
突然大きく聞こえた心音に驚き、思わず呼吸を止めた。
血管が破裂したかと思うほどの爆音。
常に呼吸をしているとどうしても心臓や肺に負荷がかかるらしく、頻繁にこういうことが起こる。
そのせいかあと少しのところでいつも上手くいかない。
…諦めない。
何も上手くいかないのは昔から。
それを言い訳に自分を甘やかしていい訳がない。
意地でも剣士になると誓ったのだから。
師範に、背中を押してもらったことに気づいたのだから。
必死だった。
基礎体力の向上、新しい刀に慣れるための厳しい訓練、いつ何時も意識し続ける呼吸。
呼吸を止めるなと指摘してくれるのは心の中の自分だけ。
1人きりの先が見えない訓練は想像を超える過酷さだった。
��もし、蜜璃が横にいれば��
ふとそんなことを考えた自分に鳥肌がたった。
追い抜くと決めた相手に縋り付くような考え。
私と蜜璃は敵同士ではない。
けれど好敵手でも仲間でもない。
助け合って生きていくような甘い関係ではない。
私たちは双子でありながら決して交わらない存在。
赤と青、光と闇、柔と硬、恋と哀。
そんな対照の。
そして私にとって蜜璃は、勝つべき相手。
蜜璃よりも強く。
蜜璃よりも早く。
そのために私は刀を振るう。
そのために、最終選別にも受かってみせる。
闇の中、私は強く鞘を握りしめた。
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名無し - 辛ちゃんかわよっ！ (2020年4月21日 20時) (
レス) id: e0a13cc95c (このIDを非表示/違反報告)
チロルチョコ - 続きをぉぉ (2019年12月15日 20時) (レス) id: 03d659cd41 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ。@さぶ - めちゃめちゃ泣きました・・・！大好きです！更新がんばってください！応援してます！ (2019年7月21日 13時) (レス) id: dcfa07bf42 (このIDを非表示/違反報告)
白波瀬(プロフ) - なーなー@今日俺さん» ありがとうございます。そこまで感動してくださるとは驚きと嬉しさでいっぱいです…！拾陸話からの件、ご指摘ありがとうございます。主人公の名前のことでしょうか？こちらで確認したところ問題ないはずなのですが不具合ですかね…。 (2019年7月7日 16時) (レス) id: 5e8c752928 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー@今日俺(プロフ) - 何度もすみません。拾陸話からでした。 (2019年7月7日 14時) (レス) id: 17dfab9de5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白波瀬 | 作成日時：2019年6月15日 10時
