第十二話 ページ14
自分の右腕を改めてみると、明らかにただの刃物傷じゃない色に変色し、
其の患部は大きく腫れていた。少し熱も出てきているらしく体がだるい。
こういうのは大体毒だな…しびれている感触はないから、普通に人体に害のあるやつ…
真面目に大丈夫か、と思って何かないか探していると、
薬類が見つかった。
とりあえずよくわからなかったけど、患部の消毒と手当だけしておく。
『はぁ…突然巻き込まれて牢屋に入れられて、挙句の果てに刃物で負傷…
散々だなぁ…俺の家にはもう戻れないのか…？店…俺が行かなかったら取り壊されるよなー…』
こつこつと貯めたお金で建てた念願の店。
昔から、自分の店を持つことが夢だったのに。
『絶対、帰れる…、道を……さが…ｓ…』
少年視点
…僕には名前がない。
親の顔も知らないし、誰かから愛情を受け取ったこともない。
…僕の体に当たっただけで、嫌な顔をしてぱんぱんと払ってチクチクする言葉を僕に
大きな声でどなって行くだけだったのに。
昔、たくさんの人がひらひらした白い服を着た大きな白い部屋の中にいた時に
優しく笑いかけてくれたお姉ちゃんがいた。
そのお姉ちゃんは、唯一僕に笑顔を見せてくれるお姉ちゃんで、
…………でも、そのお姉ちゃんは死んじゃった。
冷たくなって、体から赤いのがいっぱい出てて、そのままもう二度と僕に笑いかけてくれなかった。
僕にやさしくしていたから、だから偉そうな人に殺されちゃったんだ。
僕は悲しくて悲しくて、とっても悲しくて、あと、とっても、どうやって言っていいのか
わからない気持ちがこみあげてきて、僕、どうしようもなく体が熱くなった。
気が付いたらまわりはがれきだらけで、大きな白い部屋も、白い服を着た人たちももういなくて、
お姉ちゃんもいなくて。
僕はそのまま暗くてじめじめしたところに放り込まれて、
お腹がペコペコになってもなにもくれない人たちを背にして、
お姉ちゃんのこと思い出して泣いてた。
そんなとき、この人がやってきた。
この人は、僕にパンを分けてくれて、この人はあの暗くてじめじめしたところから僕を
出してくれた。自分から僕に触れて、自分の来ていた服を僕にくれて、
僕は何とも言えないけど、久しぶりにお姉ちゃんと一緒にいた時みたいに楽しくなって、
体があったかくなった。
この人は、なんで僕を出してくれたんだろう。
この人は、なんなんだろう。
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Masatoサブ＠3(プロフ) - ｼﾝｼﾞﾝさん» ありがとうございます！亀更新＆また垢消えた泣ですが頑張ります！ (2023年1月6日 9時) (
レス) id: e70ef9156d (このIDを非表示/違反報告)
ｼﾝｼﾞﾝ - めっちゃ面白いです!!!!応援してます (2023年1月4日 20時) (レス) @page47 id: 46a033504b (このIDを非表示/違反報告)
優斗 - こあさん» ありがとうございます…うぉおぉぉおおやさっささっさっすぃいいぃぃい（深夜テンション (2022年12月18日 0時) (レス) id: e70ef9156d (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - ストーリー性が面白いから見てますね！ (ハート押しときます！) (2022年12月18日 0時) (レス) @page46 id: b820e4a724 (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - 君でしたねこれは失礼(( (2022年12月4日 17時) (レス) id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：優斗_1128 | 作成日時：2022年9月24日 8時
