第十一話 ページ13
『ッ…………』
ずきん、ずきんと腕が嫌に痛む。
普通の刃物のけがとは少し違和感のある痛みかただ。
もしかしたら、何かあの刃物には塗られていたのか？
『あの、すいません。お兄さん』
？「ん？どうしたの？」
『我々国って、刃物使ってますよね？』
？「うん。それが？」
『その刃物に何か塗られていることって…………』
？「大いにあり得ると思うよ。エミさんならやるんじゃないかな。」
まじかー…
じゃあそういうことだよな。
今のところ体調に変化はない。アドレナリンが出ているだけかもしれないけれど、
今のところは大丈夫だ。
そのまま静かに歩き進めると、ある場所で立ち止まった。
？「ここだよ、ここを上に上がっていくと洞窟に出るから、しばらくはここにいて。
戦いがひと段落したら迎えに来るから。」
『わかりました、ありがとうございます。』
？「それじゃあね、気を付けて。」
『お兄さんも。』
少年を連れて鉄製の梯子を上る。
片手で痛みながら登るのは結構きつかったけど、がこんと大きなダクトの蓋を外すと
そこには結構な広さの洞窟が広がっていた。
どうやらここは我々国の拠点のようで、今は人はいないものの
簡易的な食料や衣服は置いてあった。
これはありがたい、この状況で外になんか出たくないからな。
『少年、ここでしばらく過ごそう。ここから出たらだめだぞ。』
相変わらず無反応だったが、手はしっかり握っていてくれているので了承したと見よう。
中を見物すると、そこにはパンや干し肉といった保存食から、
冬用の分厚いマント、簡易的毛布やベッドセットなどが置いてあった。
一応、護身用にナイフも借りておこう。
俺は手になじみのある包丁を探して手に取り、鞘を腰のベルトにつけた。
小さな子供に刃物を持たせるのもどうかと思ったが、念のためだ。
『少年、もし少年の身に何か起こったらこのナイフで自分の身を守るんだ。
多分少年ならできると思う。』
口には出さないけど、大罪人…………国をも滅ぼしてる子だ。
ナイフを渡しても問題ないだろう。
少年のズボンにナイフの入った鞘を括り付ける。
俺がもし何らかの理由で意識を失っていたら、守ってあげることができないからな。
毛布とマントをいくつか拝借して簡易的にテントのようなものをつくる。
床にもしいて、一段落した後壁に背中を当てながら座り込んだ。
『ふぅ…ッ…たいな…』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 271人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Masatoサブ＠3(プロフ) - ｼﾝｼﾞﾝさん» ありがとうございます！亀更新＆また垢消えた泣ですが頑張ります！ (2023年1月6日 9時) (
レス) id: e70ef9156d (このIDを非表示/違反報告)
ｼﾝｼﾞﾝ - めっちゃ面白いです!!!!応援してます (2023年1月4日 20時) (レス) @page47 id: 46a033504b (このIDを非表示/違反報告)
優斗 - こあさん» ありがとうございます…うぉおぉぉおおやさっささっさっすぃいいぃぃい（深夜テンション (2022年12月18日 0時) (レス) id: e70ef9156d (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - ストーリー性が面白いから見てますね！ (ハート押しときます！) (2022年12月18日 0時) (レス) @page46 id: b820e4a724 (このIDを非表示/違反報告)
森の民(プロフ) - 君でしたねこれは失礼(( (2022年12月4日 17時) (レス) id: 6c1a629d1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優斗_1128 | 作成日時：2022年9月24日 8時
