カイロ・レンの妹 (ページ30)

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繋がりページ30

「何、先の」

　私はただ呆然と先レンがいた場所を眺めることしかできなかった。

　居た痕跡を探そうにも何も残っていなかった。

　ただの幻影？

　でも意識せずにフォースから入り込んだから。

　私は恐る恐る自分のフォースを開いた。

　すると空気がまた震えて、不意にレンが現れた。

　今度こそしっかり目が合う。

　「...これはどうして？」

　信じられない思いに耐えきれず私はレンに問いかけた。

　しかし、向こうも頭を横に振った。私と同じように思い当たることはないようだ。

　「さあ？俺はAしか見えない」

　「私も、あんたしか見えない」

　この変な繋がりは誰によるものなのか、私もレンも分からない。

　この時、母が貨物室に入ってきた。

　「A？誰かと話してるの？」

　

　その目線がまっすぐレンの方向に注がれていることに気付いて、焦りで胸の鼓動が速くなった。

　「ううん、独り言」

　驚きを見つけようとしたが、母の目からただの当惑が見て取れた。
　

　
　「そう？次の基地の場所を決めるからAにも会議に参加して欲しいわ」

　そう言って母はその場から去った。

　「ファルコンにいるのだな？オーガナもいる」

　レンは急に飢えたギラギラした瞳で私を見た。

　周りが見えなくても私の反応でレンに気付かれてしまった。

　「...今はあんたと話したくないわ」

　私はレンから背を向けて歩き出そうとした。

　

　結局二人はまた敵同士に戻ってしまった。

　「俺は話したい」

　レンの揺るぎない口調に思わず足を止める。

　「もう行かないと」

　その場から離れようとした私の手をレンが掴んだ。

　
　厚みのある暖かい皮膚の感触に私は驚いて、レンの手を払った。

　レンに振り返ると、向こうも動揺しているように見えた。

　この繋がりは視覚だけではなく、実際近くにいるように物をも動かせることが分かった。

　「今はその時じゃないわ」

　私は急いでその場から逃げるように走り去った。