カイロ・レンの妹 (ページ28)

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今じゃないページ28

マスターを見てから、ベンはレンに入れ替わった。

　悪意に近い残酷さと恐怖が感じてくる。

　「お前の助言など必要でない、このおいぼれめ！」

　レンは深紅の光刃を抜いた。

　「下がってなさい」

　師は私の前に立ちはだかって、ライトセーバーを出した。

　「なぜ何もかもお前に邪魔されなきゃならん！」

　大声を上げる同時にレンは師に攻撃を仕掛けた。

　「お前を殺そうとしたことは今でも後悔してる」

　
　応戦しながら師は言った。

　あの話は本当だった。

　「そうだろうな！」
　

　私は二人の一進一退を見守ることしかできなかった。

　「お前が滅べば、俺は失くしたものを取り戻せる！」
　

　不意にレンが手をこっちに伸ばしてくる。

　その燃え盛る瞳に見据えられて、否応なしの強引な誘いに乗せられそうになった。

　「俺と来い」

　
　師も片眉を上げて同じように手を差し伸べてきた。

　「レジスタンスは君が必要だ。私は彼の言う通りに死ぬが、戦いはまだ終わってない」

　レンと行けば当然この戦いは終わり、これ以上の犠牲は出ないだろう。
　

　しかし、私は自分が簡単に仲間を裏切れない事を知っている。

　その上、レンを完全にベンに戻すのが私の使命だと感じていた。

　「まだその時じゃない、君だけじゃ無理なんだ」

　私の考えを読んだように師は穏やかな笑みを浮かべた。

　そうだよね。

　彼を闇から引き戻すのに私だけじゃ足りない。

　彼を同じように愛すのも、今じゃない。

　私はゆっくりふたりの間に行った。

　

　「きっと大丈夫」

　

　
　私は意を決して師の手を取った。
　

　レン視点

　「おい待って！」

　かつての師の手を取ったAが朝霧が霞むようにこの場から消え始めた。

　俺は乱暴にその腕を掴もうとしたが、指の間で光が流れ落ち溢れた。

　

　完全に姿を消す直前、Aの淡い笑みを見た気がした。

　今回も、俺じゃなかったのか。

　
　

　怒りに任せて俺は老人の体を切りつけた。

　
　が、空を切っただけだった。

　「また会おう。その時君はベンとして」

　
　スカイウォーカーはAと同じように忽然と姿を消した。

　宇宙に飛び立つファルコンを睨み、激しい怒りが眉の辺りに這うのを感じながら俺は絶叫した。