カイロ・レンの妹 (ページ23)

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崩れた関係ページ23

レンは一瞬の出来事に呆然としている私を引き立て、護衛から取り返した私のセーバーを投げて寄越した。

　「後で言いたいことがあるんだ」

　
　と言いながら、レンは怒り狂った護衛たちに突進した。

　はっと正気が戻った私は武器を掲げて強力な一撃を
受け止め、衝撃で筋肉が痺れた。

　相手の人数は多い、あらゆる方向からくる攻撃をレンと背中を合わせて防ぐ。

　自分を抑える鎖がなくなって、レンは初めて翼を広げた獰猛な鷲のようだ。

　幾度か攻撃を受けても、サポートにより敵の一人また一人と減って行った。

　
　「うっ！」

　対戦していた護衛に隙を取られ、首をキツく締められた。

　
　けど、後ろから飛びかかってくるレンに気付いてないのは運の尽きだ。

　背後でライトセーバーの斬りつける音を耳にし、拘束が緩んだと共に私は倒れ込んだ。

　

　やり遂げた。

　そして何より、レンと兄のベンが重なったのだ。
　

　脱力感と疲労に目が眩む。ベンが支えてなければ二度と起き上がれない気がした。

　広い空間にただ二人の荒い呼吸が響く。

　兄は私の頬にできた傷に触れて、何かを伝えようと口を開きかけた。

　「意識があるうちに言って」

　
　私は苦笑してこれから伝わる言葉に耳を傾けた。

　「俺は」

　一回言い淀んで、ベンは真摯な目で私を見つめる。

　
　「Aが好きだ」

　ベンの中から溶岩のような情熱が突き上げたのを感じ取った。

　困惑していると、次の瞬間ベンが私の首に腕を回し、顔を近づけたのだ。

　それは、優しく穏やかで、居場所のない口づけだった。

　拒むのも忘れて私は唇を離せなかった。

　ベンのやるせない想いと永遠に燃え尽きない愛情を舌から伝わって来たからだ。

　あの時のレンからの感情は、兄妹としてのではなく、

　男女としての「愛」と言うものだと悟った。

　唇同士が離れた瞬間、世界がひっくり返った気がした。今までごく当たり前の関係が崩れたような。

　「A、俺と一緒になろう」

　ベンは厳粛な表情を浮かべ、私を見た。

　「この恋が実るように。誰にも邪魔させないところで暮らそう」

　
　なんて言えばいいのだろう。
　
　

　私が答える前に、力強い女性の声が割って入った。

　「強引に押し通そうと思わないで！この怪物！」

　一斉に振り返ると、レイが入り口に立っている。