カイロ・レンの妹 (ページ1)

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追憶ページ1

「俺と一緒に来ないか、A」

　炎で燃え上がるジェダイの寺院を背にしながら、ベンが手を差し伸べてきた。
　
　「強くなりたくないか？」

　炎に照らされたベンの顔は真剣そのものだったが、私は頬が温かい液体が伝わったのを感じた。
　
　「何言ってるの、ベン」
　

　今の兄はもはや人殺しで、私は恐怖と不安で膝が笑ってしまい、その場に崩れ落ちた。
　
　「俺と来れば、二人で銀河を支配できる」
　
　ふとベンが屈み込んで、私の前髪をかき上げて額に軽く唇を押し当てた。それから愛おしげに髪を優しく撫でた。
　
　

　心優しく、思いやりのある兄は破壊者へと変わって行った。目の前に立ってる人は誰？私は一瞬目が眩んだ。
　
　逃げ出したい、でも足が動かない。

　「い、いやだ」
　
　

　長くして、ようやく乾いた喉からか細い呟きが出た。
　
　

　この時後ろで爆発が起こり、煙のせいでベンの顔がよく見えなかった。おそらく拒絶されて怒りの表情を浮かんでいるであろう。
　
　「ベン！その子を離すんだ！」

　といきなり、誰かのフォースによって後ろに引き下がれた。
　
　

　白いローブを靡かせて、極めて険しい表情でベンを見据えるマスター・ルークの姿があった。
　
　「今のうちならやり直せるんだ。頼む、スノークの言いなりになるな！」

　懇願するような声である。
　
　

　ちょうど煙が風に運ばれ、やっとベンがこちらを見ていることに気づけた。だが、その漆黒の瞳に宿っているのは怒りではなく、

　言葉で言い表せない、悲しみであった。

　

　その目に胸の奥を鋭く突かれた気がした。

　

　それからベンはすぐさまマスターに視線を戻し、憎しみに身を任せて青色のライトセーバーを振るった。

　

　
　とたん、私の意識が飛んだ。