言い訳ばかり探してる毎日【俺スカ】 (ページ9)

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『すみません,原田…先生』

原田「あら,さっきのかわいい顔の」

『 ……原田糸さんってご存知ですか』

原田「知ってるも何も娘よ」

『は? 』

原田「娘」

東条への態度とは真反対なニコニコとしながら答える原田の口からは,娘,ときた.

『 …安岡…安岡一道,ってご存知でしょうか』

原田「糸の元彼の? 」

『多分』

原田「ウチにいるわよ,アイツ. なに? 知り合い? 」

『 ……すみません,やっぱり人違いでした』

実の妹を家に置き去りにして,元カノの家に居候してるなんて,信じられない.
やっぱこんなめんどくさい妹,引き取りたく無かったんだろう.
ううん,自業自得だ.
僕が大人しく,〝女の子〟になっていれば良かっただけなのに.

『すみません,体調が良くないので早退します』

溢れそうになる涙を堪えて授業中の教室の扉を思いっきり開けた.
バンッと大きい音がしたけれどそんなの今の僕にはどうでもいい.

須長「あ,安岡さん. 具合は… 」

『帰ります』

須長「え,あ, 」

『ごめん,結衣. 今日行けそうにない』

川崎「 …A? 」

『それじゃ,またね(・・・) 』

須長「あ,ちょ,安岡さん! 校門まで送ろうか!? 」

『 ……化学の担当に心配してもらう程,弱くありませんから』

開けた扉を強く閉めた.
校門には鍵が掛けられてるから飛び越えて帰路に着く.
袖で涙を強く拭い,スマホからある会社に電話をかけた.

『すみません,先日お電話しました,安岡といいます.鍵の取り替えを近日中にお願いしたいんですが…大丈夫ですか? 』

もう,縁は切れる範囲で切る.
それが僕の決断だ.
アッチがその気なら僕だってやってやる.

『あ,服とか……須長先生に頼むか』

須長先生は何故か僕を気にかけてくれてる.
空手部の練習中や練習試合,本試合の時は必ず差し入れを持ってきてくれたりしてるから,原田の住所も手に入れてくれるだろう.
無理なら原田に預けてもらえばいいし.
僕からは絶対に渡さないけど.