言い訳ばかり探してる毎日【俺スカ】 (ページ12)

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-安岡一道side-

お父さんの鞄から名簿を出して字牌と数牌に顔写真と名前を貼っていってると1人の名前で指が止まった.

安岡A

そう,お父さんが勤務する学校にいるって事は知っていたけれど担任までするなんて.
運命ってヤツかもしれない.
Aちゃんは医者に軽い性同一性障害だと診断された.
何故かそれを聞いた時,凄く辛くなったんだ.
俺がもっとしっかりしていればって.

糸「安岡? 」

「え?あ?どうした? 」

糸「めちゃくちゃ変な顔でボーとしてたから」

もうずっと1人にさせている.
性同一性障害のAちゃんを受け入れることが出来なかったから.
そんな時,お父さんがグレーを教えてくれた.
もう少し,もう少し待ってね,Aちゃん.
お兄ちゃん,絶対に立派になってAちゃんの元へ帰るから.

原田「なにこれ」

「僕が作りました. 役に立ちたくて」

原田「東大卒のエリートが勝手に俺の鞄漁ってんじゃねーよ! 」

糸「名前覚えた方がいいから名前付きの写真貰ったんでしょ? 」

原田「無駄無駄,こういうのいらないから」

糸「あのねえ,先生やりたいっつったののぶなんだからね!? 名前覚える努力くらいしなさいよ! 」

原田「ﾁｯ,いらねえいらねえ」

糸「ココは? 」

原田「やらねえ」

糸が指を置いた先.
あぁ,そこは間違いなく,

「 Aちゃん」

糸「 …Aちゃん…ってなんで下の名前!? 」

原田「なんでお前が覚えてんだよ」

「 Aちゃん,俺の妹なんです. ほら,苗字も安岡って」

糸「ホントだ…妹いるとは知ってたけど写真でここ迄かわいいんだ… 」

「そっ. 俺の妹ちょーかわいいの. 1人でなんでもできちゃうし,流石東大卒エリートの妹」

原田「アンタの妹,今日休んでたわよ」

「え」

毎朝4:30に起きて朝ご飯もお弁当も用意してくれるAちゃんが学校を休んだ?
体調でも悪いんだろうか,それとも事故にあったりしたんだろうか,そういえば今日は行ってきますっていうメッセージはこなかった.

原田「 ……アンタの妹さぁ,もしかして────────── 」

お父さんの言葉に俺は静かに頷いた.