【ツキウタ。】no title【ツキプロ】 (ページ37)

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呟くのは君の名前ページ37

日が暖かい春の日。
今日はオフで特に何もすることがないから共有ルームに転がっとく。

「 A 」

ふと、彼女の名前をコロコロと舌で転がすように呟いた。

「あーあ、Aに会いたいなー」

何故か嫌われてるけど、俺はAが好きだ。
出会って早々に顔を殴られたりしたけど。
別にMってわけじゃない。
ただ一目惚れってやつだった。
緩く巻かれたエメラルド色の髪に光が当たって輝いて見えたあの瞬間に好きになっていたんだと思う。

「どーやって仲良くしてんだろ。グラビの2人は」

Aと言えば傍にグラビの2人がいつもいる。
確か同級生だったとかなんとか。

「くぅ…羨ましい! 」

『 … 』

「 …ってぇぇえええ!? A!? 」

『 …何が羨ましいんですか』

「えーと…いや…その… 」

少し怒り気味のAはソファの傍に立ちこちらを見下ろしている。
今日も可愛いなぁなんて思いながら。
しかしいつからいたんだろう。
それより何しに来たんだろうか。

「あははー。忘れちゃった！」

『ふぅん… 』

「そ、それよりもさ! Aがココにいるなんて珍しいじゃん! 」

『別に。大くんに約束のお菓子を持ってきただけです』

うーん！相変わらず素っ気ない!
大ちゃんにはニコニコしてるんだけどなぁ。
もしかして大ちゃんが好きとか…わんちゃん有り得ることない!?
結構頻繁にお菓子渡してるし…胃袋掴まれちゃってる系!?

『ねぇ奥井さん』

「ん!? 」

『 ? 』

「あぁいや! 気にしないで! 」

『そう…あの、その、ごめんなさい! 』

「へ!? 」

彼女はそれだけ言うと共有ルームから走って出ていった。

「なんで謝ったんだろ… 」

そんなに二人きりが嫌だったんだろうか。