恋した君が怖くなる ページ15
神無月郁said
『 いくすけ〜郁助郁助郁助ぇ〜 』
「 あーはいはい、どうしたのー? 」
昔から彼女が郁助と呼ぶ時は決まって何かがあった時だ。
今も腰にしがみついて呻いている。
『 …あのさ、郁助は好きな人いる…? 』
「 ……突然なにー? Aから恋バナだなんてへんなの 」
『 真剣な話なの! この前、孝明さんに頭撫でられた時にぶわぁっと顔が熱くなって、ドキドキして…みつにぃに相談したら恋じゃないって言われて… 』
「 ……そういう話は陽とかの方がいいよ。俺にはわかんないや 」
Aからこんな話を持ちかけてる時点で止めとけばよかったかもしれない。
聞いて傷ついて少し手に力が入ったかもしれない、持ってい缶が少し凹んだ。
「 でもAに恋なんて早いでしょ 」
『 でももう20歳だもん、遅い気がする… 』
「 …慌てたっていい恋できないよ。ゆっくりでいいじゃん、ね? 」
ふわふわの髪の毛を撫でると頬を膨らましジト目になるA。
気づかせじゃダメだ、彼女に恋心を抱かせてはいけない。
そうじゃなきゃ、恋の高校生の時からの努力が無駄になってしまう。
『 うん、そうだよね…ゆっくり考えなきゃ 』
「 そうそう、ゆっくり考えて─── 」
「 俺ね、Aの事が好き、なのかも… 」
ふと脳裏に昔、赤面で言った恋の言葉が浮かぶ。
そうだ、俺の気持ちは伝えてはいけない。
Aのその気持ちを気づかせてはいけない。
「 …A、幸せになってね 」
『 ? あたしは今でも幸せよ? 皆がいてくれるもん 』
でも、それでも、例え恋とじゃなくてもAには幸せになってもらいたい。
そう願いを込めてAの髪をまた撫でた。
▲▼
ちょっと年少達はゴタゴタしててほしい
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作者名：ろーずまりー | 作成日時：2018年2月14日 3時
