【ツキウタ。】no title【ツキプロ】 (ページ12)

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何故か無性に泣きたくなったページ12

SolidSの奥井翼さんが苦手だ。
なんで苦手なのかはよく覚えていないけど気づいた時は苦手だった。
だからみんなみたいに名前で呼べずずっと苗字でさん付けで呼んでいる。

『 …あ、奥井さん。こんにちは』

「ちゃお～、なんか久しぶりじゃない? 」

多分無意識に避けていたのかもしれない。
同じ寮にいるのに遭遇率が低すぎる気がする。
まぁ基本オフの日は寮にいないってのも1つの理由だと思われる。

『これからお仕事ですか? 』

「そー、お仕事なの」

『 ……頑張ってください』

「え」

『 ? 』

目の前の奥井さんは目をぱちくりさせ顔を真っ赤にしている。
思わず引いてしまったあたしを許してほしい。

「いや…えっと、その何気に初めて激励もらったきがするから… 」

『 …え、それだけで顔が赤くなるとか大丈夫ですか? 』

「違うから!? Aに言ってもらえたからこうなってるだけで… 」

『 …あたしアレルギー…とか? 』

「なんでそうなるのかなー… 」

力が抜けたように座り込む奥井さん。
そんなとこ座ってたら蹴られますよ、涼太とかに。

「 …ま、鈍感なのがまたAのいいとこなのかな」

『なんか貶された気分』

「褒めたんだけど!? 」

『嘘ですよ、ありがとうございます』

それにしても今から仕事か。
丁度17時くらいだから小腹が空く時間帯だな。
多く造りすぎたから1つくらいあげても大丈夫だろう。

『奥井さん』

「ん? なーに? 」

『小腹が空く時間だと思うんでこれ。現場行くまでに食べるかなんかしてください』

「 ……へっ!? いいの? 」

『はい。今から駆の所に持って行こうと思ってたんですけど造り過ぎたので』

「すっごい嬉しい…中何? 」

『バッテンバーグケーキです。1口サイズにしてあるんで手も汚れないしこぼさないんで移動中に食べれますよ』

「 ……ありがと、じゃ行ってくる! 」

『 …行ってらっしゃい』

さて、あたしも駆の所に行くか。
そういえばさっきの奥井さんには苦手意識がなかったなぁ…。
なんで苦手だったんだろう。

かけるんお腹空いたー!!

駆なら何か知ってるかもしれない。
少し心残りがあるけど駆に聞けば解決するだろう。
もう1度振り返り小さくなってく奥井さんの背中を見つめる。

一体あたしは何故彼が苦手なのだろう。