明日も４４ ページ45
それは急な事だった。
いつも通り「勝己、起きて」という優しい声色に起こされて、ぼやけた目を擦ってAを探す。
ここまではいつも通りだった。
穏やかに過ぎるこの朝が、俺は別段嫌いではなかった。
問題があったのはその後だ。
「おはよ、勝己」
「あー…は、よ…？」
焦点の合った目が捉えたのはAだけじゃなかった。
いつも通り制服を纏ったAが、子供を抱いていたのだ。
Aにしがみついて怯えながらこっちを見る２、３歳ぐらいのガキは、どこからどう見ても、
「クソデク…!?」
「ひっ、」
近づいたのがいけなかったのか、全力で顔を背けAに縋り付く、そのもじゃもじゃした後ろ姿は紛れもなく忌々しいもう1人の幼馴染だった。
……？？？？？
「…何があったか十文字で説明しろ」
「むりだわばか。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その日の朝、私は朝ご飯を作り終わって勝己を起こしに行く途中だった。
階段を登って、2階に差し掛かった時だった。
「A、ちゃん、」
何処からか、か細く私の名前を呼ぶ声が聞こえて、辺りを見渡した。
しかし声がするばかりで姿は見えず、空耳かと３階に上がろうと足を進める。
「っ、ひっく、Aちゃぁぁん…」
今度はハッキリと泣く声が聞こえて、急いで戻り、目を凝らすと、出久の部屋の扉が少しだけ開いていた。
何かあったのだろうか、と慌てて扉を開ける。
「出久っ！？」
バッ、と飛び込んた玄関に人は居なくて、混乱しながら出久の声を呼ぶ。
なんで…？！声はしてるのに…！？
「Aちゃん、ここ、」
段々怖くなって来て、誰か人を呼ぼうかなんて考えが過ぎった刹那、足にぺちぺちと何かに叩かれる感触がした。
すると足元には、大きな目にいっぱい涙を溜めて、私の足に引っ付く、小さな出久がいたのだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「…って感じで、1人にしとく訳にもいかないから、連れて来たって事。わかった？」
「わかるわけねぇだろ…！」
「だって心配で…」
「…本音は」
「小さい出久可愛くて…」
「今すぐ返して来い！！！！！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シトロン - 初めまして！いつも楽しく読ませてもらっています！読むたびに胸きゅんする作品でとても素敵です！これからも頑張ってください！応援しています！ (2018年12月15日 14時) (
レス) id: 22bac4a663 (このIDを非表示/違反報告)
akamaru(プロフ) - ひなさん» 本当ですか！？さっき直したと思ったんですが、まだ７に行くようになっちゃってますか？！ (2018年2月10日 15時) (レス) id: 8e554ad2d5 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ごめんなさい間違えました！ (2018年2月10日 14時) (レス) id: e3fe067d7a (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - この小説の続きへを押すと7にいってしまうようになってますよー (2018年2月10日 14時) (レス) id: e3fe067d7a (このIDを非表示/違反報告)
akamaru(プロフ) - 妃薫。さん» コメントありがとうございます！かっちゃんの幼児化1度やったのですが、短かったのでじっくりやるのもいいですね！´`*続編に進みましたので、そちらでもよろしくお願い致します！ (2018年2月10日 13時) (レス) id: 8e554ad2d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：akamaru
| 作成日時：2017年12月7日 16時
