ずっと４０ ページ41
「ああ爆豪くん！今日も来てくれたのね！」
「ッス……」
毎日ありがとう。と笑うすっかり顔馴染みになってしまった看護師や医者に軽く会釈をしてA の病室を目指す。
Aがいるのはもうあの集中治療室ではない。
一般病棟の個室だ。
あれから奇跡の回復を見せたAは体の傷はほとんど治り、この普通の病室に移された。
ただ意識が戻らない事を除けば。
見慣れた扉の前に立ち、深く呼吸する。
力を入れて扉を引けば、いつも通り、横たわるAの姿が見え、少しだけ落胆する。
目が覚めているかもしれない、と何度思ったことか。
「…遅くなってわりぃ」
今日は久々に副会長として少しだけ仕事をしなくてはならない日だったのだ。
「会長がいないってのは、なかなか大変だな。」
積み上がってた書類とにらめっこしていたAを思い出すと思わず笑が漏れた。
手に触れると暖かく、もうあの時のような死人の体温では無くなっている。
「……そうだ、今日先生にこれを貰った。」
ポケットを漁り、Aの手にそれを乗せる。
「落としたんだろお前。警察が見つけてくれたんだと。リングの裏に名前掘っておいてよかったわ。」
シャラ…という音が響いてAの手にリングが通ったネックレスを握らせる。
戦闘中か、治癒している時か、何かの弾みで落ちてしまったのだろう。
警察が届けてくれたらしいが戻って来たことは奇跡に等しかった。
「よかった、な」
喉の奥が熱くなって、涙が伝った。
それを誤魔化すように布団に突っ伏し、ただひたすらに願った。
あの日枯れてしまったと思った涙は止まることは無くて、この長い月日の中、どれだけ泣いたかわからない。
声が聞きたい。話がしたい。抱きしめてキスがしたい。
だから、目を覚ましてくれ。
そう願うのも何度目か、
ぎゅう、と手を握ったその時だった。
「……なき、むし」
自分とは違う声が病室に響いて一瞬思考が停止する。
でもそれはただの一瞬で、次の瞬間、俺は突っ伏していた頭を勢いよくあげた。
「っふ、かつ、き、おはよ、う」
その目に映ったのは涙を伝わせながら笑うAだった。
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しょこ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！あっという間に読み終えてしまいました！番外編もぜひ読みたいです！よろしければパスワード教えてください！お願いします！！ (2021年9月10日 10時) (
レス) id: db298285d4 (このIDを非表示/違反報告)
ちちやん。(プロフ) - 泣きながら読みました！キュンキュンもして最高な作品です！よろしければ番外編のパスワードを教えてほしいです！よろしくお願いします！ (2021年9月8日 0時) (レス) id: aa3319d69c (このIDを非表示/違反報告)
ぬ ぅ ん .(プロフ) - 最近僕のヒーローアカデミアのアニメを見ていて、占ツクで検索をしてみたところ主様の最高な作品に出会えました！！計３日で読み終え、キュンキュン要素も感動も色々あって本当に読むのが楽しかったです！よろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか？ (2021年9月4日 23時) (レス) id: 2dff4a4a4d (このIDを非表示/違反報告)
名無し63417号(プロフ) - すごく感動しました！番外編も読ませて頂きたいので、パスワードを教えていただきたいです！ (2021年9月4日 21時) (レス) id: ab2bf48dce (このIDを非表示/違反報告)
ちー - 大変面白かったので番外編も見たいのですが、パスワードがわかりません。どうか教えてください！ (2021年9月3日 17時) (レス) id: a78753c38e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akamaru
| 作成日時：2018年2月10日 13時
