【ハリポタ】胡蝶の夢を見る5 (ページ22)

今日:1 hit、昨日:136 hit、合計:38,038 hit

【8-2】ページ22

「なんだか、闇の魔術とかにも関わってるみたいでさ…」

「レーヴ一家が？ふうん…聞いたことないな。」

「やっぱりそうなんだ。私としてはちょっとショックで…むしろ私の家はマグルに友好的だと思ってたから。」

なぜノットにこの話をしているのか分からない。
あまり交友のない彼だったからこそ、逆にできた話なのかもしれない。

「別に珍しくはないさ。そういう家もよくある。逆もまた然りだ。」

よくあることの一つだったらまだよかったけど…
彼は、まさかレーヴが全てのはじまりだったとは思いもしないだろうな。私はため息をこぼす。

「そういえば…私、一応マグル育ちなんだけど、ノットは何も思わない？」

「…それは気の毒に…って言いたいところだけど、君はそう思ってないだろう？」

彼は本に目を落としたまま私の話に返事をくれた。そのくらいの適当さがちょうど良かった。

「私のことは嫌いじゃないの？君、純血主義なのに。」

純血主義者の言葉を借りれば、私は血を裏切る者でそもそもマグル育ちだ。ノットはそれを知っていて私の話に耳を傾けてくれている。

「別に。まあ、愚かなやつだなとは思うけど…君だってマルフォイと仲がいいじゃないか。」

「うん…まあ、仲良くなったのが先だったし…それにドラコはマグルを蔑むのをやめてくれたんだ…最近はハリー達とも仲良くしてるよ。」

「へえ？」

彼は初めて面白そうに笑い声をこぼした。

「何が面白いの？」

「別に、君は本当に馬鹿なやつだと思って。」

「…喧嘩売ってるの？」

私は少しムッとして彼を睨んだ。
彼はこっちを見てもいない。

「君を敵に回すなんて…そんなことできるはずないじゃないか。」

「それ、どういう意味？」

「さあね。」

ノットは本のページをめくった。
彼はずっと話に付き合ってくれているが、本の内容は頭に入っているのだろうか。

「私、読書の邪魔？」

「まあ。でもくだらない戯言くらいなら本を読みながらでも付き合えるさ。」

「真面目に話してるつもりだったんだけど…」

「そう？」

彼はバカにしたように鼻で笑った。

……

やっぱりノットって嫌な奴かな。
なんだかそんな気がしてきた。

「…私、血筋の違いとか、魔法が使える使えないとか、虐げる理由にならないと思う。」

言ってから思い出す。
レーヴが始めたことなのだと。

私がどんなにそれを否定したって、私に流れるのは…純血思想の元凶、レーヴの血なのだ。

「人種や血が違ったって同じ命に変わりないでしょ？」

自分に、自分の血に言い聞かせるように言った。

「確かにその通りかもしれないね。」